医療保険のカラクリ2009年11月26日

最近、「医療保険のあるべき姿」に関心があり、「医療保険のカラクリ」と題して二つ関連する記事を書きました。

アゴラ:
http://agora-web.jp/archives/809736.html

マネックスメール:
http://lounge.monex.co.jp/column/monexmail/2009/11/25.html

問題は大きく分けて二つ。

① 国民が公的保険をきちんと理解していない ⇒ それを補完する民間保険の加入も最適化されていない

② 民間医療保険が医療制度の議論からすっぽり落ちて、独立して運営されている。 ⇒ 5兆円近い民間医療保険のお金の流れが最適化されていない

じゃぁどうしろ、と言われてもなかなかばしっとした答えはないのですが、まずは問題意識の共有までと思い、寄稿。

コメント

_ ロンロン ― 2009年11月26日 20:47

岩瀬さん、初めまして。ロンロンといいます。今回のトピックについて疑問が二つあります。非常に初歩的な疑問で大変申し訳ありませんが、ご回答いただけば幸いです。(特に「国がどのように判断するのか?」って部分は「そんなのしらねーよ」って回答かもしれませんが、それでもいいのいで回答いただければ幸いです)

①なぜ国は高額療養費制度を国民に認知させようとしない(また認知させる努力をしていないような状態でいる)のでしょう?国民がこの制度を知ってしまうと、高額療養費制度の申請が増加し、結果、国が負担する費用が増してしまうので、それを嫌がっているからなのですか?ただ国が費用負担する際の財源は国民の税金ですよね。であれば「ちゃんと税金は国民の為に使っている!!」って主張できる一要因と思うのですが。
②なぜ、岩瀬さんはこの「高額療養費制度」があることをいろんなメディアで紹介されるのでしょうか?この知識があれば。特に財布の紐の堅い人あれば「じゃあ、国が保証してくれるから、医療保険なんていらないじゃん」って判断をする=ライフネット生命の収益にはつながらないって思うのですが・・。

_ 後田亨 ― 2009年11月26日 21:49

お邪魔します。

ロンロンさま はじめまして。後田(うしろだ)と申します。

昨日のことですが、会社のブログで、時に、営業でありながら医療保険の解約をすすめていることを書いていたので、私なりの考えを述べさせてもらいます。

①については、制度の認知度を高めることが、関係者にとって、生活(給料)を左右する、切実な問題にはなっていないからではないかと推察します。(一方、保険会社にとっては、商品が認知されないことは文字どおり死活問題でしょう。)

また②に関しては、こう言ってはなんですが、お客様の知識のなさにつけ込むようなことをして、成績が上がって嬉しいか?ということです。そんな自問を繰り返している業界人を、私は少なからず知っています。

(「綺麗事言ってないで儲けろよ!」 という私もいますが・・)(日々葛藤です)

_ 通りすがりの外資生保 ― 2009年11月26日 23:37

後田さんの乗っかって私もお邪魔しまーす。

私が医療保険は微妙だと思う根拠は岩瀬さんのアプローチとはちょっと異なり、「レバレッジが低いから保険でなくとも可能では」および「負担保険料と給付という観点で損益分岐点が高いから」ですが、それはさておき。。。

①に関してですが、実は従前から結構告知されているんですよね。
もう数年前になりますが、日経新聞でも何度か特集のような形式で載っていましたしマネー雑誌を見てもよく載っています。そして、対面の保険屋さんも結構説明してる人が多いと思います。

私は、これは情報の受け手である消費者にも課題があるのではないかと思います。投資などポジティブな側面に対しての情報収集は貪欲であっても公的年金や健保など「強制徴収された費用との交換で身を守るために与えられた権利」に対して無頓着な傾向は否めないのではないでしょうか?もちろんこれらの仕組みが複雑怪奇で分かりづらいという課題もあるのですが。。。

例えば、公的年金であれば一般に認識されている「年金」がいわゆる「老齢年金」を指しており、その機能以外にも「遺族年金」や「障害者年金」という機能があることをご存じない方がいまだに多いと思います。また、健保についても高額療養給付以外に傷病手当など大きな「保険機能」が付いています。

一方で、高額療養給付もちょっと前までは「所得に関係なく一律63600円以上で」という時代もありましたし、公的年金の受給開始が遅くなり、給付も削減されていってる中で、将来これらを中心に考慮するには頼りないという方々も少数ながらいるのかもしれませんが。。。。

後田さんのおっしゃる通り、民間ではないので本気度は確かに疑問ですが、情報の受け手である消費者サイドの無頓着さも課題ではないかと個人的には思います。蛇足ですが、医療費負担の削減・緩和としては税制面の「医療控除」もありますし。。。

②に関しては、もちろん岩瀬さんの正義感であると同時に、「長い目で見ればモノゴトは必ず正しいところに収束する」ということを岩瀬さんが知っているということではないでしょうか。特に保険業というものは本当に息の長いビジネスであり、結果的に一番正しさが問われるビジネスのような気がします。マーケット(消費者)は決して馬鹿ではありません。短期的な繁栄があったとしても正しくないものは必ず淘汰されると思います。

_ ryota ― 2009年11月27日 12:38

ロンロンさんの②を換言させて頂くと、ライフネット生命が死亡保障だけを販売しているのなら、岩瀬さんのこれまで主張と整合性が取れて腑に落ちます。やはり医療保険も販売しなければならないのは経営上の理由からでしょうか?つまり死亡保障一本だけでは採算を取るのが難しいということでしょうか?経営者として、ご自身の考えと営利企業としての立場との間の葛藤に苦しんでいとしたら深く同情いたします。応援していますのでこれからも頑張って下さい。

_ ロンロン ― 2009年11月27日 22:38

ロンロンです。私の初歩的な質問に対して、ご丁寧なご回答ありがとうございます。「なるほどなあ」と感嘆している次第です。

後田様
①のご回答について:本来は関係者の方々にも「死活問題」とまではいかずとも「大切な事柄」という認識はあってほしいと思いますが・・。現実的には難しいのでしょうかね。
②のご回答について:本当のとろこは岩瀬さんにお伺いしたいですね。
丁寧なご回答、ありがとうございました。

通りすがりの外資生保様
①のご回答について:そうなんですね。そんなにいろいろと公表されていたんですね。知らなかった~(恥ずかし~)。でも、強制的かつ結構な金額をとられているのですから、本来はもっと興味をもつべきですよね。自分的に反省です。でも、年金にしても健保にしても、制度を理解しようと思うと、言葉は難しいし、表現も回りくどいのが多いので、こういった言葉になじみがない私にとっては正直わかりづらいし、難しいと感じてしまいます。もっと簡素化すると理解しやすいなあとは思うのですが・・・。
②について:なるほどです。
丁寧なご回答ありがとうございました。

Ryota様
換言ありがとうございます。ぜひ、岩瀬さんにお伺いしたいですね。

_ (未記入) ― 2009年11月28日 15:05

公的医療の「代替」ではなく「補完」するものとして、自助努力による民間の医療保険は必要であると考えています。
「高額療養費医療制度」があったとしても、もし重い病気にかかり何年も入院をすることになれば、当然に、いまの生活を維持することはできなくなります。とくに(自分を含めて?)現代の中高年は、住宅ローン、エンゲル係数でなく、エンジェル係数も高い世代、貯蓄などほとんどありません?!。
「高額療養費制度」があるにしても、間違いなく自己負担はあるわけで、日々の生活費は普段通り(節約をするようにしても)にかかるわけですので。
もう一つの公的医療制度として「傷病手当金」もありましたよね。
これは、病気やケガで会社を休み、会社から十分な報酬が受けられない場合、本人とその家族の生活を保障するために設けられている制度。支給される金額は、1日当たり、標準報酬日額の3分の2で、最長1年6か月まで。ただし、この「傷病手当金」、公的医療保険財政難より縮減傾向の話があるようですね。
いずれにせよ、現状を維持することはできなくなるので、個人においては、普段からの自助努力により、民間の保険による選択肢も入れて、不測の事態に少しでも備えておくことは必要だと考えています。

_ (未記入)←Endo ― 2009年11月28日 15:09

すいません。テストだったら零点ですね。失礼しました。

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
このブログの著者の名前(フルネーム)を、漢字で記入してください。

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://totodaisuke.asablo.jp/blog/2009/11/26/4722174/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。