書籍は「フリー」になるか2010年02月27日

生命保険の仕事をはじめてから、業界人が理解している「生命保険」と、一般人が理解しているそれとの間に、大きな乖離があることを知った。

自動車保険を選ぶのに悩む人はいないし、ましてやコンサルティングを受ける人はいない。「事故にあったときの保障」について、自分にとって最適な、保険料と保障の組み合わせを選ぶだけだ。

生命保険も、本来は同じはずである。にもかかわらず、仕組みは著しく複雑化し、多くの人が自分で理解できない、説明できない商品を、購入している。また、簡単に複数の保険会社を比較できないので、ほとんど同じものを、とても割高な価格で買っている。

売り手と買い手との間の知識のギャップ、情報の非対称性は、少なからずどの業界にも存在するものだが、ここまで大規模なものはみたことがない。多くの売り手は、自分が自信を持って薦められない商品、自分では買わないような商品を、日夜販売している。

ほとんどの国民が、必要でない保障を買ったり、ベスト・ディールでない取引をしている。生命保険業界が40兆円近いことを考えると、その経済的インプリケーションはおそらく数兆円規模と、巨大である。

そのような情報ギャップ、社会経済的なムダを少しでも解消したいと思い、ライフネット生命のホームページでは、生命保険の仕組みについて、詳しく解説するページを用意した。開業当時のこれらのページの文面は、ほとんど一字一句、自分の手で書いた。

しかし、まとまった情報を伝えるのには、ウェブよりも書籍の方が適しているのでないか、と考えた。そこで昨年10月、文芸春秋から、「生命保険のカラクリ」という新書を出した。おかげさまで、発売から3ヶ月で増刷を重ねた。

この本で書かれている内容は、ほとんどが業界人にとって当たり前のことである。そしてそれは本来であれば、全ての売り手が、買い手に対して説明すべき内容でもある。保険業界、監督当局などが、啓蒙に努めるべき内容である。

もっと多くの人に、読んでもらいたい。日に日に、そんな思いが強まった。

そこで、今回、文芸春秋社にお願いして、「生命保険のカラクリ」の全文を、同社のHPで無料ダウンロードできるようにして頂いた(4月15日まで)。

http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784166607235

このように、大手出版社が、書籍を丸ごと一冊無料でダウンロードできるようにしたのは、おそらく国内で初めてのことだと思われる。文芸春秋社の英断には、大いに感謝したい。

ぜひ、pdf版をダウンロードして、読んでみてください。そして、感想をお聞かせください。

【追記】
JCastさんが、大きく記事で取り上げてくれています!
「文春が「常識破りの冒険」 ネットで新書「無料公開」」
http://www.j-cast.com/mono/2010/02/28061120.html

現代ビジネスさんに、本件に関する対談記事が掲載されました!
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/280

コメント

_ クマ吉 ― 2010年02月27日 18:00

はじめまして。

「rennyの備忘録」経由で来ました。
pdf版をダウンロードさせて頂きました。まだ、序章しか読んでいませんが、岩瀬さんの思いが伝わってきます。じっくり読ませて頂きます。

_ herohero ― 2010年02月28日 00:48

はじめまして、
本を購入して1週間後に岩瀬様のこのブログで
本のデータがDL出来ることを知りました。
無料で読めるから、残念だと思ったかといえば全然そうでもなく、とても読みごたえがありましたし、本とパソコン両方でまた見ることができると感謝しております。
老舗生保に加入しておりますが丁度見直しを検討しておりましたので、とても読みごたえがあり、無自覚かつ不勉強であった私の頭を殴ってくれたという印象です。
表題の「書籍はフリーになるか」ですが、データであれ、紙媒体であれ、質の高いものにはFeeを払ってくれるものと感じております。

_ ケンケン ― 2010年02月28日 23:49

pdf版をダウンロードさせて頂きました。内容も良く御英断に感謝します。データとか本とか媒体は違っても内容がいいものにはお金を払いますよ。
日本の出版社もアマゾンkindleやアップルIpadを恐れずに電子出版
に積極的に取り組む時期が来たのだと思います。

_ ytsuchiyama ― 2010年03月01日 15:25

pdfダウンロードさせて頂きました。有難うございます。
些末なことですが、このpdfが左綴じ(横書き用)のデータになっています。右綴じで作っていただければ、リーダーの見開き表示で書籍のイメージに近く見やすくなります。ご一考いただければ幸いです。

_ miu ― 2010年03月01日 17:22

ダウンロードさせていただき読ませていただいております。
上のytsuchiyamaさんのコメントにもありますが同意見です。

AdobeReaderには便利な機能があって、画面上の「ファイル編集表示・・・」のところから
表示→ページ表示→見開きページ を設定すると本のように見られます。
見開きページモードで表示をレイアウト を設定すると1ページ目が表紙になりページがずれないのですが、
ファイル→プロパティ→詳細設定 で綴じ方が左になっており、ページの左右が逆になってしまっています。
これはAdobeReaderの設定ではどうにもならず元ファイルの綴じ方を右に修正しないといけないようです。

とりあえず1ページづつ読んでいるので問題ありませんが、
もしよろしければ修正していただけると2ページづつ読めるようになり助かります。

私も親類など含め生命保険を再検討したいと思います。

_ Marr ― 2010年03月02日 00:59

はじめまして!さっそくPDFをダウンロードさせていただきました。手元のKindleにデータを入れて読んでいます。フォントのサイズもちょうどよくて、とても読みやすいです。近日中に拙ブログでもぜひご紹介させていただければと思っております。(読者にKindleユーザーが多いので。)

こうした取り組みが、きっと世の中を変えていくんでしょうね。岩瀬さんはもちろんですが、文芸春秋さんの英断にも大きな拍手を送りたいです!!

_ さい ― 2010年03月02日 21:07

pdf版をダウンロードさせて頂きました。ありがとうございます。
数ページ読みましたが、パソコンの文字を長い時間読むのは私には無理なようで、新書を購入しようと思いました。
私の読書時間はだいたい電車の中。
小さな文字を読むには今のところ紙がベストのようです。

_ naotaro ― 2010年03月04日 20:18

はじめまして。
昨年末、書籍で読ませていただきました。
なるほど~と思うことばかりで、
身内にも薦めたいと思っていたところでした。
さっそくダウンロードさせていただきます!!

私自身は生命保険には加入していないのですが
(就業不能保険が気になります)
刺激を受けて自動車保険の見直しをしてみました。
それも効果があったので、
やっぱり、たくさんの選択肢を知らないということは
損をしているんだろうなぁと思いました。

_ 苗村屋 ― 2010年04月25日 23:59

岩瀬さん、大変遅くなりましたが、『生命保険のカラクリ』を拝読しました。コメントをブログの方に書きました!いろいろと初めて知ることが多くて、勉強になりました。ありがとうございます!

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_ もりたまんもす - 2010年02月27日 13:10

 どなたかがツイートもされていましたが、4月15日までの期間限 定で、岩瀬大輔著

_ ぺってぃブログ - 2010年02月27日 23:28

「この保険はどう?」

家族を持つと、考えるのは万が一への備え。
保険について無知であった私は、母が勧める貯蓄型医療保険のパンフレットに目を通していた。


そしてこれが、私の保険に対する考え方・常識をすべて塗り替えることになった出来事。

_ mfuji555のブログ - 2010年02月28日 07:00

まだ最後まで読んでいない本を紹介するのは気が引けるのですが、 無料でダウンロード出来るのが、4月15日までですので 早めに紹介しておきます。 ライフネット生命という保険業界に新風を巻き起こしている 会社の創業者の一人である岩瀬大輔さんが 「生命保険のカラクリ」 ..

_ Junk Blog - 2010年02月28日 14:39

Twitter経由で知ったんですが、ライフネット生命創業者の著書のpdf版で公開されています。書籍は「フリー」になるか生命保険は加入していません。独身なので。独身の間は、死んでもお金受け取る人いないし。大病を仮に患っても、高額医療保証制度でどうにかなるんじゃないかと考えてます。と、割り切って考えているのに、気になってしまって読んだのは、今の職場に転勤してからと言うもの、食堂に大手の生保会社の生保レディさん達がいつも数名営業活動しているから。。。(ちなみに各社勧誘を受けて全て断りました。)...

_ テンプルナイツ 宮殿騎士団 - 2010年02月28日 18:29

 日本全世帯の9割が加入している生命保険について、仕組みを詳しく紹介した文春新書の岩瀬大輔『生命保険のカラクリ』が公式サ...

_ 「ETF中心で資産形成」Blog - 2010年03月01日 00:16

書籍は「フリー」になるか にあるとおり、 「生命保険のカラクリ(岩瀬 大輔・著)」が期間限定無料公開されたようです! 岩瀬さんすごい!さすがです! 早速、読みたいと思います。 (iPhoneに入れて読む予定。)...

_ 「ETF中心で資産形成」Blog - 2010年03月01日 00:25

書籍は「フリー」になるか にあるとおり、 「生命保険のカラクリ(岩瀬 大輔・著)」が期間限定無料公開されたようです! 岩瀬さんすごい!さすがです! 普通だと、 「xx名様にプレゼント!」 等、「選ばれた人」感を演出したりして、「良い会社」感をアップさせることを思いつくと思いますが、 これだと、伝えたい人につたえきれない。 (コストを考えると、せいぜい、数十~百人レベルとなるだろう。) そこは、「ネット専門保険会社」。従来の常識を覆してくれたと思います。 「生命保険のカラクリ」を伝えて、ライフネット生...

_ ATS Online / 田邊健一blog - 2010年03月01日 08:43

おはようございます。

さて、現在文藝春秋社さんのホームページで岩瀬大輔さんの著書「生命保険のカラクリ」が1冊まるごとダウンロードで�...

_ はせものがたる - 2010年03月02日 19:29

最近何かと話題の「フリー」ですが、
今、書籍も電子化の波でついにフリーを
効果的に取り入れる必要性が出てきたと思います。

そんな中、今回ライフネット生命
の岩瀬さんが
期間限定で挑戦的な試みをされています。

その内容、
まさに書籍の「フリー」化

2010

_ 崖っぷちサラリーマンのビジネス書書評 - 2010年03月02日 23:11

『フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略 』という本を前に紹介したんですがほんとあの本は評判良くてあいかわらず売れてるですがその本の話題のきっかけが 無料で期間限定でしたがダウンロードできたんですよね、それを読んだ人のクチコミなどで広まりヒットにもつなが

_ 東大理物卒、サラリーマン研究者の読書日記 - 2010年03月03日 23:37

情熱と使命感に洗脳された:『生命保険のカラクリ』
ネット生保「ライフネット生命」副社長が生保業界の裏側を明かす衝撃本。著者の岩瀬氏大輔氏は1976年生まれということで、私とほとんど変わらない。まったくの業界外からの新参者で、その新参者の目から、生保業界のカラ...

_ かぜくる - 2010年03月04日 00:49


以前、無料ビジネスをテーマにしたクリス・アンダーソン氏の『フリー <無料>からお金を生みだす新戦略』が期間限定で無料公開して話題になりましたが、角川グループの代表取締役会長兼CEOである角川歴彦氏も同様な形態で「クラウド時代と<クール革命>」を全文無料公開しています。





◆クラウド時代と<クール革命> | 角川歴彦


これは3月10日の発売に先がけたもので、3月10日11時までの期間限定で、全文をサイトで無料公開しています。


...

_ Tomo Memo - 2010年04月09日 09:35

岩瀬大輔(ブログ/twitter)著「生命保険のカラクリ」を読んだ。

生命保険のカラクリ (文春新書)文藝春秋 2009-10-17売り上げランキング : 150おす��...

_ 苗村屋読書日記 - 2010年04月25日 23:56

△0862 『生命保険のカラクリ』 >岩瀬大輔/文春新書

 生命保険の原価開示で一躍有名になった、ライフネット生命。さらには、本書もすべてのページを無料のPDFで閲覧することができるということで話題になった。一見、話題づくりのようにも思えるが、この2つは時代の...

_ 金融起業家 河合圭のオフショア投資ブログ - 2010年06月17日 17:03

本日は『生命保険のカラクリ』という本の紹介です。

生命保険のカラクリ (文春新書)(2009/10/17)岩瀬 大輔商品詳細を見る

この本はライフネッ��...