「働けなくなるリスク」2010年02月12日

2月10日、ライフネット生命としては開業以来、初めてとなる、新商品の認可を金融庁より頂きました。

http://www.lifenet-seimei.co.jp/newsrelease/2010/2260.html

これまで、「かぞくへの保険」「じぶんへの保険」と、基本となる死亡保障と医療保障の二つの分野において、シンプルで安価な保障を提供する商品を発売しました。

それでは次に、どんな商品を出すのか?

ライフネットの将来を占う新商品の姿について、社内では何度となく議論を交わしてきました。

ここで、考えの柱となったのは、「売れ筋の商品」を狙うのではなく、「世の中が必要としているが、他社が躊躇して提供していない商品を出そう」ということです。

議論を進めていくなかで、「生命保険商品は、新しい時代環境の変化に十分あっていないのではないか?」「今の時代に、本当に必要な保障は何か?」という認識でした。

これまで主力となってきた、大型の死亡保障を中核に据えた貯蓄商品というのは、以下の条件を満たした戦後の高度成長経済時代に適した設計となっている:
・ 経済が右肩上がりで可処分所得も伸びているため保険料が多めに払える
・ 子供も多く、女性は専業主婦として働いていない
・ 金利も高かったため(5%~6%までつけた)、長期の貯蓄が有利

しかし、今はこれらの諸条件が逆転している:
・ 経済は伸びない、所得も伸びないので、保険料は必要最小限に抑えたい
・ 少子化、女性の社会進出が進み、死亡保障ニーズは低下
・ 空前の超低金利が続いているため、長期の貯蓄商品が昔ほど有利でなくなっている

そういった中、死亡保障より医療保障ニーズが高まっているが、本当に必要なのは「頻繁に起こる小さい損失の保障」だけではなく、「めったに起こらないが、ダメージが大きい損失に備えるもの」ではないか、ということでした。

医療現場などへのヒアリングをする中で出てきた意見が、
「我が国では高額療養費制度によって自己負担には上限が設けられているため、仕事を続けられれば、なんとか医療費は払える。しかし、本当につらいのは、働くことができなくなり、収入が途絶えてしまったケース」

そこで、注目したのが、欧米では一般的に「ディサビリティ」と呼ばれている、「就業不能保障保険」です。

この商品は欧米では加入率は3割近くあるのに対して、我が国ではまだ1%未満となっています。国内の保険会社が、あまり積極的に販売してこなかったためです。

しかし、実際は「働けなくなるリスク」は、無視できない大きさです。例えば、生活保護開始の主な理由を見ていると、約4割が「世帯主の傷病」となっています。つまり、傷病によって収入が途絶え、貧困に陥るリスクが顕在化しているのです。

さらに、新しい時代環境として、結婚が遅くなり、独身世帯が多くなっている(30代前半でも男性47%、女性32%)ことも、死亡保障よりも、長期の就業不能リスクが高まっていると考えます。

そこで、考えたのが、「働けなくなりリスク」に備えるための保険。「就業不能保障保険」と呼ばれるものであり、欧米では「ディサビリティ」と言われています。

「かぞくへの保険」「じぶんへの保険」と来たので、新商品のペットネームは

「働く人への保険」

としました。

就業不能に備える保険は、まだあまり一般的ではありません。しかし、上で見たように、このリスクは、すべての就業者が備える必要があるものだと思います。

発売当初は、データ不足やモラルリスクの観点から、精神障害については給付対象から外していますが、就業不能に陥った場合には65歳まで保障を提供する、ということで、我が国の生保では初となる本格的な個人向けのディサビリティ商品となっています。

発売は2月下旬を予定していますので、ぜひ皆様にも加入を検討頂ければと思います。

過去のエントリー「医療保険を勉強しよう」もご参照
http://totodaisuke.weblogs.jp/blog/2008/08/post-b16b.html