書籍の「フリー」化で、出版社は損をするのか2010年03月01日

生命保険のカラクリ、無料ダウンロードを開始してから数日間。気になるので、Twitter での皆さんの反応を読んでいます。Twitter は皆の「脊髄反射的」な反応が読めて、面白い。

* 今回の背景などについては、講談社の新しいウェブサイト、「現代ビジネス」の対談にまとめられていますので、ご参照ください
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/280

さて、出版社からしてみると、「お金を取れたのに無料で配ることの機会損失」がどの程度あるか、仮説を立ててみる。

全体の人数を100%とすると、
(a) この本、前から気になっていたので、ただでダウンローできて、超ラッキー!
→ 2-3%?と仮定するのは思い上がり?そもそも知っている人は全体の人数からすると少ないのでは?基本的な、機会損失はこの部分の人数。

(b) 知らなかった(97-98%)

とりあえず、ダウンロードしてみる!
   ↓
パラパラめくって、終わる人がほとんどか(95%) 
(c) 興味ないので本を買わない人(94%)
(d) ちゃんと読みたいと思い、読みづらいので本を買う人(1%)
   ↓
ある程度読み込む人(3%)も二つに分かれる 
(e) ちゃんと読めて満足する人(2%)これならお金払ってもよかったぁ
(f) それでも本を買ってちゃんと読もう、と思う人(1%)

数字は適当ですが。

でも、こうやって考えていくと
(a) そもそもどれくらいの人が読みたいと思っていたのか
(d), (f) フリーにすることで興味を持ち、買う人の割合がどれくらいいるのか、ということの数字の割合による事が分かる。

また、(e) の人たちに対しては、別途広告など販促をしていなければ、リーチできていなかったので、純粋な機会損失ともいいづらい。

そう考えていくと、本当に出版社が「フリー」化することで得するのか、損するのかは、簡単に答えが出ない様な気がする。

別セグメントとして、「海外居住の日本人」というマーケットがあることに気がついた。「本を買いたいと思っていたが、送料が高いので戸惑っていた。非常に助かる」
→ こういう人たちには、全額チャージできる。送料がないだけでも大きい。

もっと、考えてみます!

コメント

_ 珈琲男 ― 2010年03月01日 18:12

「海外居住の日本人」です。エントリーを拝見して即ダウンロードさせていただきました。例えば仮に300円程度だっとしても多分払っていたと思います。ただ、この300円なら気軽に払ってもいい、という気持ちを損なわせないだけの、シンプル(でも安全な)支払いの仕組みを出版社が提供できることが必要だとは思いますが。

_ motty_jack ― 2010年03月01日 18:31

私は本書を本で読みました。 パソコンでもダウンロードをしてみたのですが、パソコンだと縦書きを読む事に慣れていないので、読みづらいですね。 
もっと図が多い書籍だとパソコンでも、なんとか読めそうですが、、、
本書は、本で読んでも文字が多く理解に苦しみ、私は自分で図を書きながら理解を深めていました。

出版社が無料でダウンロードさせると得するか、損をするかについてですが、今回については、話題性とパソコンでの読みづらさで本が売れて得をしそうですね。 流石です!!

_ derma ― 2010年03月01日 19:09

もし書籍のフリーDLが売り上げ増に繋がるなら、多数の書籍がフリーDLをはじめるようになるでしょう。当然フリーであることで削減できる広告費が少なくなり、フリーであることの旨みはなくなるでしょう。
(逆に、フリーDLが売り上げ増に繋がらないのなら、もともとお話にもなりません)
つまり、フリーDLは「最初にやったある程度の人だけが得をするかもね」というくらいの徒花に過ぎないのではないでしょうか。

_ 苗村屋 ― 2010年03月01日 20:44

私も「海外居住の日本人」です。恐らく珈琲男さんのおっしゃるとおり、有料でも決済が安全であれば、購入したと思います。今回、せっかくなので試しにダウンロードしてみましたが、PDFで縦書きは見づらいですね。(ちなみに生命保険のカラクリは購入済みですが、未読です。スミマセン。。。)

さて、無料というと広告収入という構図が短絡的に浮かびます。今の技術を利用すれば、画一的な広告ではなく、読者の好きそうな広告をページに埋め込むことができるのではないでしょうか。

また、岩瀬さんにとっては、ライフネット生命の宣伝になという点で、メリットがあると思います。やはり業界初、というのはインパクトがありますし、話題性十分ですね。

出版社から見ると、この点のメリットはないのですが、御社が受益者と考えると、岩瀬さんから広告料を徴収するというのも、ありかもしれません。

_ かわむら ― 2010年03月02日 12:28

はじめまして。ダウンロードしてチラチラと読んで買う事にしました。
私は少数派ですね。
(a) 2-3% ⇒ (d) 1% ⇒ ?

出版後ある程度経った本であれば、機会損失よりも需要を喚起するメリットの方が大きい気がします。ライフネット生命や岩瀬さんの名前も売れますし。
ちなみに私はネット無料、書籍有料という感覚があるため、本は買っても有料ダウンロードはちょっとハードルが高いです。

_ ryota ― 2010年03月02日 17:24

私は書籍を購入済みですが、ダウンロードもしました。その理由は検索が容易になるからです。あの話はどこに書いてあったけ?と思った時にPCだと検索機能を使って探すことが出来て便利です。

_ poipoi ― 2010年03月03日 00:11

全盲の友人が喜んでいました。
無料だからではなく、彼にも読めたからです(PC+音声ソフトで読み上げさせて聴く)。ちなみに、某大手出版社の方が書かれた本の無料公開は、音声ソフトでは読めない作りになっていて、こちらには憤慨していました。
彼ら社会で活躍している障害者は常々、読みたい本が読める形で売られていたら買うよと言っています。また、ウェブの世界では、社会的責任を謳うような企業は、無料の情報でもアクセシビリティ(障害者や高齢者の利用可能性)に配慮するようになってきています。
その意味で、技術によって可能になった顧客開拓と社会的責任の遂行に早く気づいた出版社は損はしないと思います。

_ ヨコン ― 2010年03月04日 08:49

同じく海外在住日本人です。
生保のカラクリは、2月の日本帰国時にまとめて買った本の中の1冊で、帰国後も忙しさに追われ読んでいませんでしたが、もちろんDLしました。PDFですが、読みやすいサイズに縮小したら、正直本より読みやすかったですよ。職業柄1日の内8-9時間は最低でもPCに向かっているので、なんと言っても仕事の合間の息抜きにいつでも読めるのは嬉いです。300円でDLできるんだったら、私は700円の本を買って荷物になるよりはダンゼンこちらのほうが良いですね。
すばらしい試みだと思います。
もっと多くの新書が有料でも良いからDLできるようになれば良いですね。

_ ヨコン ― 2010年03月04日 08:50

追伸。

電子本って、どこまで読んだかわかる、シオリ機能って、なかったんですかね。

あると便利。Kindleでは確か採用されていたような。

_ Hina ― 2010年03月04日 14:51

pdf版をPCで読んでいたら眼が痛くなってきました。このまま240ページまでPCで読み続けるのは耐え難いのでやっぱり本を購入することにします。よって出版社は損をしないのではないでしょうか?

_ Shino ― 2010年03月05日 08:48

「ライフハッカー」から飛んできました。「海外居住」です。
送料や送信の時差から、日本の本を買いたくても躊躇して、毎日ネットのみで情報収集してます。引越しも多いので、書籍がネットでDL、かつ低価格で読めるようになればよいと思います。

_ kindler ― 2010年03月05日 15:56

無料DLはキンドルのような端末が普及していたら、出版社は損をするかもしれないと思います。何故ならキンドルは本と同等のポータビリティがあるからです。あとPCで読むよりも読みやすいです。

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