会社はイヌ、ネコ、タヌキ、キツネの動物園2009年09月01日

新政権に何気に期待している岩瀬です。せっかくのチャンスなので、ぜひ民主党には頑張って欲しい!二世議員の比率が1割代だとかいう点を見ると、何か期待せずにはいられない。

もっとも、NY Times に掲載された「鳩山論文」(本人は趣旨を歪められたとクレームしているらしいですが)は、いきなり「米国主導の市場原理主義、グローバリゼーション反対」みたいな内容で、対米外交の観点からはややKYと思いましたが。

さて。最近発売された、私が尊敬するマーケッターである前田明氏(元J&Jヴァイスプレジデント)の新著が、とても面白い。

「相手のシッポを踏まない職場の掟」
http://www.amazon.co.jp/dp/447800921X

曰く、ビジネスパーソンはすべて4つのタイプに分類できる。

1. イヌ型:仕事の大義が大切
 ・ 人の役に立つことが喜び
 ・ 人の評価が気になり、感謝されるとメチャメチャ幸せ

2. タヌキ型社員:自分の存在感が大切
 ・ 親分肌で、仲間に頼られると幸せ
 ・ 現実主義で、臨機応変な現場対応が得意

3. ネコ型社員:自分の価値尺度が大切
 ・ 自尊心が強く、わが道を行く
 ・ ものごとの「ストライクゾーン」が狭く、善し悪しがはっきり

4. キツネ型社員:自分の美意識が大切
 ・ 社交的に見えても、人とは一定の距離
 ・ 自分の美意識に照らして自分を評価し、人の評価を気にしない

読みながら、「そうそう」とうなづくとともに、「あの人はネコ。あの人はタヌキ。おれはイヌ」などと皆をあてはめてしまいました。

本書はこのあと、
・ どうやってそれぞれのタイプを見分けるか
・ それぞれのタイプの本性は何か
・ それぞれが互いにうまくやっていくためにはどういう点に気をつけなければいけないか
といった点について敷衍していく。

そして最後は、「自分のタイプを知って、自分を成長させる」という章でまとめられていて、それぞれの動物タイプのSWOT分析がなされている。

面白いのは、血液占いのようなシンプルさ・分かりやすさを持ちつつも、著者は超・ロジカル+戦略的なビジネスマンなので、かなりきっちりロジカルに論がなされている点。

もしかしたら、ベストセラーになるかもの予感。己を知り、同僚のクセを理解し、組織でのパフォーマンスを最大化していくためにも、皆さんもぜひお手に取ってみてください。

パワブレ in 名古屋2009年09月02日

リップルウッド時代は、朝7時からブレックファーストミーティングをよくやっていた。外人が時差ボケで早く目覚めてしまい、皇居を走ったりしてから、朝一番でやりたがるのです。始業時間前だと頭も冴えてるし、1日を有意義に使えるので便利。

http://men.cobs.jp/sp/goodmorning/2009/04/post-4.html

こんな取材を受けたことも。写真を撮ったのは朝食がとっくに終わってからで、ぜんぜんブレックファーストが写っていませんが。

さて、最近は朝がバタバタしているので、たまにしかできていなかった。そこで、久しぶりに、朝の時間を使ったイベントに参加します。

来週の9月8日(火)、グロービス名古屋校で講演をやることになっているのですが、

http://www.lifenet-seimei.co.jp/seminar/2009/1858.html
(こちらも宜しければどうぞ)

その次の日の朝、ホテルのレストランで朝食を食べながら、ライフネットの戦略、あるいはキャリア論などについて10~15人くらいで話し合おうという会合を、「名古屋でがんばる社長」の岡田さんが企画してくれました!

日時:9月9日(水) 朝7時~
場所:名古屋マリオットホテル15階
    http://www.associa.com/nma/restaurant/pergola.html
会費:2,500円 (朝食ビュッフェ代、実費)

参加ご希望の方は、岡田さんまでご一報を
http://iwill.livedoor.biz/archives/50878190.html

最近、全然写真を撮れてないなぁ。あ、新著の第三版増刷が決まりました!

ひたすらカイゼン2009年09月03日

今日の未明、ライフネットHPの申込画面の大幅リニューアルが行われた。ずっと前からやりたかったことなので、無事に実施することができて、とっても嬉しい。

これで申込が10倍に増えるという類のものではないのですが、申込を開始した人の離脱が5%でも減れば、中長期的にはボディーブローのように効いてくること請け合い。

開業して1年以上たち、色々な施策が落ち着くところに落ち着いてきたというか、理念と現実とを上手く融合させたビジネスモデルが作れつつあるような気がする:
・ できるだけ(コスト高に繋がる)紙は使わない!と思っていたが、自社サイトまで来て資料請求して下ったお客様にはパンフレットを送付+フォロー
・ うっとおしい営業はしない!と決めていたが、先方からアプローチがあったお客様には、こちらからメールや電話でご連絡をして相談に乗ったりご説明したりするように(うっとおしくない、営業じゃない)
・ マス広告は当分はやらない!と思っていたが、思いがけずテレビ広告の費用が安くなったので、地域限定で見積トライ!
・ ホームページはひたすらカイゼンを続ける、と決めていたが、当初は開発リソース不足で思うように進まなかったが、今はスタッフが大幅に強化され、随時カイゼン中
などなど

1年以上が経って、見違えるように、足腰が強い組織に育ちつつあるような気がする。7月には商品開発担当の辣腕アクチュアリーが入社したので、作りたいと思った商品が、ほぼ制約なしに作れそう。

まだまだ大きな目標にはほど遠いのですが、一歩一歩、着実に歩んでいます!よかったら、申込やってみてください(申し込んでください)。

プロポーズ2009年09月07日

更新がちょっと滞ってました。10月刊行の新書(「生保のカラクリ」)が大詰めに入っており、かなりテンパっていた。

そんななか、週末に、ベストフレンドが七年付き合っていた彼女にプロポーズする場に立ち会った。

付き合いが長すぎて、ちょうどいいタイミングを見つけるのが難しそうだった彼。日曜昼に、友達15名くらいでキャンプ場にバーベキューをしにいった矢先での出来事。

こちらは事前に撮影をお願いされていたので、デジカメ(動画)をスタンバッテいましたが、なかなか始まらないんだ、これが。途中から、ヤツはきょろきょろ、うろうろ、挙動不審。

彼女の親友が札幌から来ていて、「なんで来てるの?」と本人も思ったそうだが、こういうことだったのね。

川がちょろちょろ流れる横の、大きな木の下で。

20カラットのおもちゃの指輪を渡され(「ホンモノは一緒に選びに行こう」というメッセージ)、皆から祝福された彼女は、

「そんな、こんな汚い恰好してきてるときに、いやだー。前もって言ってよー、ちゃんとした服装でくるのに」

と照れ隠しで言っていた。でも、ちゃんとOKしてましたが。

素敵な瞬間に、立ち会えて、ちょっと幸せな気持ちになった週末のひとときだった。

名古屋の誇り2009年09月08日

グロービス名古屋校なう。iPhone にしてからノートPCを持ち歩かなくなったものの、さすがにブログ記事を書くのはつらいので、オープンスペースのノートPCをお借りして立ちながら書いてます。

今日は19時から講演会なのですが、それに先駆けて、17時から中日新聞を訪問。知り合いの記者、2名と渋い喫茶店にてお茶を飲みながら色々とお話を。そこで教えてもらったこと。

「名古屋は一人当たり喫茶店の数が、日本一なんですよ。確か1万人当たり14件。サラリーマンは皆、家で朝食をとらずに、喫茶店でモーニングをしてから出社するんですよ」

「私も東京からこっちにはじめてきて驚いたんですが、販売店研修のときに、1時間の休憩時間があると、すぐに皆で喫茶店に繰り出すんですよ」

「僕は小さいころ、よく祖父に朝一番で喫茶店に連れて行かれました。だから、なんとなく、喫茶店に行く習慣がついているんです」

名古屋は老舗っぽい喫茶店がまだたくさん残っているようです。350円でコーヒーとトースト、ゆで卵とサラダがつくなら、確かに経済的。名古屋人のDNAに埋め込まれた喫茶店好きは、そう簡単にはなくならないようです。

といった感じで、3分くらいでブログ一本書けたらご機嫌。今から19時まで、控え室でゆっくりしてようっと。

とある一日2009年09月09日

7時から名古屋のホテルにてパワーブレックファースト=パワブレ勉強会。ビュッフェで各自取ってきた朝食を目の前に、コーヒー飲みながら色々だべる、という会合ですが。

もともと11名参加予定だったところ、前日夜のグロービス講演会で告知し、さらに7名が参加。自分を入れて約20名で、盛況でした。この人数だとテーブルの端から端まで結構距離があるので、シャウトしないと聞こえませんが。朝から目が覚めるし、有意義な時間の使い方。楽しかった。またやりたいと思った。呼んでください。

東京に戻ってきてすぐ、準備会社設立時からお世話になっているマネックスの方とランチ。同社は今年設立10周年を迎えるそうだが、「ネットライフ時代から数えると御社ももう3年。我々との(創業年数の)差は、当時は1対7だったのが、いまや3対10のわずか3倍になったからね。そのつもりでがんばって」と、冗談まじりに暖かい励ましのお言葉を。

午後はいろいろ社内で打ち合わせ。システム戦略について。新商品の収益性について。新しい本の企画について。あとはJキャストの原稿が締め切りだったので、先日話題となったVOICEの鳩山論文について書いてみた。保険学会に提出する論文のネタを探して出口としゃべったり、昔の論文を色々ダウンロードしてみたり。

あっという間に夜になり、マーケティング部に最近入った人たちの歓迎会。総勢15名くらいの大飲み会で、声がかれそう。本当にいい仲間が集まったなぁ、と思いながら、ふらふらになって帰路につきました。そんなに飲んだわけじゃないけど、朝7時から大声でハイテンションでしゃべってたから、ちょっと疲れてたみたい。

書く力2009年09月10日

気づいたら今年は本を四冊出すことに(単行本の文庫本化を含む)。今日、「慶應保険学会 保険研究」への寄稿論文が掲載されたものが送られてきたし、金融業界誌にも書いた。隔週だが、マネックスメールとJキャストで連載を持っている。ブログも毎日書いている。

今はこれに加えて、「保険学会雑誌」への寄稿論文を準備し、本を新たに二冊作っている。たくさん書いているが、千本ノックのように、書く力がいやでも磨かれてきたと思う。読書とかあまり出来ていないので、知性を感じさせる語彙が増えたりや表現力が養われたわけではなく、あくまでビジネス系の文章ですが。

さて、あまり語られていないが、ビジネスパーソンにとって、「書く力」はもっとも大切な能力の一つだと思うようになった。

メール。報告書。プレゼンテーション。口頭で伝えるのと同じか、あるいはそれ以上の分量の情報を、我々はドキュメント=文章の形で伝えている。

ここでは文学的な表現力を言っているわけではない。伝えたいメッセージを結晶化する。ロジックを分かりやすく整理し、説得力を持つ理由や事実・データをくっつける。

相手の理解や知識レベル、期待している内容、読める分量など、読み手を意識した上で、書き方を変える。相手がどれくらい時間があるか、どれだけ辛抱して読んでくれるかも踏まえて、分量を変える。

概して言えば、口頭でのコミュニケーションに長けている人は、文章でのコミュニケーションも上手だと思う。

また、書くことが鍛えられてくると、言葉で語るときの要領もブラッシュアップされてくると思う。

ブログやウェブがこれだけ普及した時代。「書く力」は仕事をよりうまく行かせるためにクリティカルなスキルになり、かつ練習もしやすくなった。皆さんも、ぜひ!千本ノックのように文章を書きまくって、書く力を養ってみてください。僕も引き続き頑張りたいと思います。

生身の人間を直視する2009年09月11日

今年読んでもっとも感銘を受けたビジネス書が2冊ある。

R25の創刊から編集長を4年務めた藤井大輔氏による「R25のつくりかた」と、博報堂出身の編集者である中川淳一郎氏による「ウェブはバカと暇人のもの」である。

「R25のつくりかた」は余りに感動したので、ウェブで長い感想を書かせてもらった。いま読み返しても、読後の興奮が伝わってくる http://totodaisuke.weblogs.jp/blog/2009/03/r25-d4f4.html

このブログ記事をきっかけに、同書にも登場するR25を一番最初に企画し、立ち上げに携わった田端伸太郎さんとも仲良しになるきっかけとなった。

「ウェブは」も自分がなんとなく感じていたことを、説得力をもって、かつ明快に言いきってくれたので、連載中のJキャストの原稿ネタとさせていただいた
http://www.j-cast.com/kaisha/2009/07/22045764.html

感銘を受けた理由はそれぞれの記事で書いたので、ぜひ読んで頂きたいが、あえて2冊に共通するポイントをあげるとするなら、それはマーケティングというややもすれば物事を整理し一般化し、すっきりと理論的に説明してしまいがちな世界において、

「生々しく不合理な、リアルな人間の心理やビヘイビアー(行動様式)を焙り出し、ありのままの姿を直視している点」

だろうか。そしてそれは、自分がもっとも苦手なことでもある(dankogai さんに以前「金融リテラシー」に関するブログエントリーでつっこまれ、新著の書評で指摘頂いた点にも繋がる)。

「M1世代が活字を読んでいないのは、活字が嫌いだからではなく、いまるものがつまらないからですよ。面白いものを作れば、絶対に読んでもらえる」(田端氏)

「M1世代は本当は日経新聞を読めるようになりたいけど、読んでいると見栄を張ってしまい、将来を心配しながら、必死に生き抜こうとしている。そんな彼らを応援する雑誌を作る」(藤井氏)

「ネットで支持を得る企画はキレイなものではなく、身近で突っ込みどころがあったり、エッチ・バカ・安っぽかったりする企画である。これからも影響力を持ち続けるのはテレビ。ネットに過大な期待をするな」(中川氏)

こういった深い人間に関する洞察が、実際に人をアクションに結び付けるマーケティングや商品企画に繋がるのだろう。

昨晩は、なんとも贅沢なことに、田端さんのアレンジで、藤井さんと中川さんと4人で食事をすることに!だって、この3人が集まれば、「編集学校」の講義、2回分を一人で受けているようなもの。超ラッキー。
http://www.freedom-univ.com/lecture/detail75.html

いつもは誰とご飯食べたなどブログで書かないようにしているのですが、さすがに一人のファンとしては、ご本人たちにお会いしたミーハー魂を隠しきれず、お許しください(ご本人たちも了承済み)。

30代半ばで年齢がとても近いということで、台湾鍋をつつきながら大盛り上がり。ライフネットのことを多少なりとも注目して下さっていたことも、嬉しかった。

お二人とも、「いやー、本には本当のことの半分くらいしかかけていませんよ」と聞いてびっくり。あれで半分なら、リアルなドラマはどんだけ面白いんだろう。

そして、このメンバーのお力を借りれば、ライフネット@認知度6% をもっと多くの方に知ってもらえるはずだ!今後はお仕事でのかかわりも深く持っていきたいなと思った次第。

というわけで、幸せな気分で金曜の朝を迎えています。皆さんも、よい週末をお過ごしください。

運動部が8つ2009年09月15日

これから早稲田の社会人大学院で講演会。立ち上げからこれまでを振り返ってみようと思い、社長に聞いてみた。

「僕たちの一番の実績は何ですか?『プロが選ぶ保険1位』二冠突破?保有契約1万件突破?」

すると、まじめな顔でこう答える。

「やっぱり、運動部が8つできたことじゃないかなぁ。
 会社は、ひとりひとりの社員が明るく、元気に、楽しく仕事をできる職場か否かが中長期的な競争力の源泉。毎朝、来るのが楽しみな会社にしたい。
 それが、僕らが何も言うことなく、自発的に8つも運動部ができたって、すごいことじゃん。」

確かに、結局は会社といっても一人一人の個人の仕事の集積なのだから、モチベーションが高い職場環境を作られたことは、これからの飛躍のためにもっとも大切なポイントか。

講演資料のなかには、

「自立的でスケーラブルな組織の構築(運動部が8つ)」

と書いておいた。これだけ読んでも意味分からなそう。

と思ったら、別の人間から指摘を受けた。

「岩瀬さん!運動部は9つです!」

修正しようとしたら、別の人間からストップがかかった。

「岩瀬さん!猛虎会の部長に確認したところ、猛虎会は運動部ではなく文化部だそうです!やっぱり8つです!」

では、いってきまーす。

「ハドリアヌス帝のように素直」2009年09月16日

出口が書いた「直球勝負の会社」(ダイヤモンド社)、お読み頂いたでしょうか?このブログには書けなかった、立ち上げの舞台裏がいろいろ描かれていて、当事者ながら「へー、そうだったんだ」とか思うこともあり、非常に面白い。まだの方は、ぜひご一読ください。

さて、このたび注意深く読んでいると、以前は読み飛ばしていた箇所に当たった:

「仕事はをはじめてすぐに私は、彼(=岩瀬)のすばらしい美質にきがつきました。若くて優秀な人にありがちな欠点がないわけではありませんが、岩瀬君はとても率直な一面を持ち合わせていたのです。」

ここまではいい。しかし、ここからがいかにも出口らしい。

「私は、一冊の本を挙げよと言われれば、ためらうことなくM・ユルスナールの『ハドリアヌス帝の回想』を挙げます。」

なぜにいきなりハドリアヌス帝?文章がつながっていなくないか?

「その中に、若きハドリアヌスが自らの美質として素直さを挙げるくだりがあります。同じような素直さを、私のパートナーは持ち合わせていたのです」

そうくるかぁ・・・

社内のある女性は、「素直っていうのに、たとえ話としてローマの皇帝を持ち出す必要があるの??まったく、社長ったら」という突っ込みを入れていましたが。

「ハドリアヌス帝のように素直」な岩瀬でした。