オセロで勝ちにいくような勉強法2009年09月17日

「字が小学生みたい」とネット上で話題になっている某連立与党党首の話が、とても人ごとには思えない私。本気で、いまからお習字通おうかしらとも思ったり。

さて、新著の「加速勉強法」(恥ずかしいから「東大×ハーバード」とか「岩瀬式」は書きたくない)は嬉しいことに好評で、すでに三刷に入りました。部数自体はまだそれほど多くないのですが、昨今の出版不況のなかでは、喜ぶべきとのことです。

今日は、これからTBSラジオへ収録に。「本読みました」というディレクターの方から連絡があり、京大卒芸人の「ロザン」が出ている、中学生・高校生向けの番組だそうです。これぞ、ベンチャーらしいゲリラマーケティング。芋づる式に、いい話が来るといいなぁ。
http://www.tbs.co.jp/radio/gaku-s/

「ブログを読んでるので本は買ってない」という方が結構いらっしゃる(ていうか、ほとんど)と思うので、今日は同書をまだ買っていない皆さんが買いたくなるようなエントリーを、ブログ上で書いて頂いた感想文を元に、書いてみよう。

1. 全体の構成

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章の構成は以下の通り。

第一章: 全体を眺めて構造を見切る
第二章: 実践を通して肌感覚を身につける
第三章: 対象から離れて助走をとる
第四章: 一点突破で強みを活かす
第五章: 「借りる力」を身につける
第六章: 直感に従って決断する
第七章: 対立する概念を受け入れる

なんでこんな章を一つずつ丁寧にタイプしたかというと、本書の中に「目次は、その本の構造が書かれているから超重要!」とあり、そこを頭に叩き込むのには、目次の複写もいいぜって書いてあったので。
http://blog.livedoor.jp/rai_no/archives/51510136.html
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そうそう、「目次こそが大切」という持論を、早速実践してくださって、嬉しいです!全体の構造を頭の中に叩きいれて、細部に飛び込むことがとても大切。地図を頭に入れながら、「いまここにいる」と考えながら運転するのと、どこに向かっているのか、いまどこにいるのか分からずに運転するのでは大違い。

司法試験をやっていた頃、皆が「商法は分量が多い」といっていたのだが、僕はそう感じなかった。合格してから、「商法スピードマスター講座」みたいな授業を企画して、3時間×2回で全体をおさらいしたところ、皆に驚かれた。

でも、自分のなかでは、全体像がばっちり頭に入っていたので、そんなに分量が多いとは感じなかったのですよ。

つまり、

d し 1 N a III n E な I 9 と VII N わ 7 E が x 6

とあったら文字がたくさん並んでいるようにみえるけど、

これを整理して

① 文字
(A) ひらがな:し、な、が、わ

(B) アルファベット
 (a) 小文字 d, a, n, x
(b) 大文字 N, E, N, E 

② 数字
(A) アラビア数字 1, 9, 7, 6
(B) ローマ数字 III, I, VII

と全体像を整理すれば、なんか覚えられそうじゃないですか。

2. 本書のテーマ

山崎元さんが書いてくれました:

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彼は勉強と仕事について敢えて区別をしていない。知的努力の必要な仕事に対しては勉強と同様に取り組んでいるようで、彼の勉強術は同時に仕事術でもある。
http://blog.goo.ne.jp/yamazaki_hajime/e/10473f0fdb135f289517f6db4e6b11b5
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そうそう、本書のタイトルはキャッチーに「勉強法」となっているが、実は仕事法でもあるのですよね。勉強も仕事も、同じ。


3. 本書で展開されている方法論について

本書で展開されている方法論については、「オセロでの勝ち方に似ている」と総括してくださったのは、弾さん。

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著者の勉強法に異論はない。著者の「まっすぐ」な経歴とは真逆の私でさえ、著者の勉強法がうまく行くことを、本blogの成長とともに体験したのでそう言い切れる。その勉強法は、強引にまとめると「オセロで勝ちに行くように勉強せよ」ということになる。

ご存知のように、オセロというのは初盤ではころころと白黒が入れ替わる。この段階で白黒を数えてはいけない。狙うのは四隅だ。一旦そこの一つを抑えてしまえば、あとは一挙に形成が自分の方に傾く。そうすればもう勝ったも同然だ。
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51280347.html
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オセロの勝ち方、とはすごいたとえだ。自分でもそういう風に見たことはなかったです。

山崎さんはもう少し、具体的に書いてくださった:

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加速勉強法の手順は、私流にまとめ直すと、(1)問題の構造を見極めることに時間を使う、(2)できるだけ「生」に近い情報を労力を惜しまずにインプットする、(3)しばし対象と距離を取る、(4)やがて突破口が見つかるのでそこで勢いをつけて一気にレベルを高める、というものだ。
http://blog.goo.ne.jp/yamazaki_hajime/e/10473f0fdb135f289517f6db4e6b11b5
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あまり長くなると皆読んでくれないので、続きはまた明日。

読んでみたくなった?まだか。

千本ノックの大切さ2009年09月18日

「加速勉強法」で書いている「全体の構造を見切る」→「ドボーンとディテールに飛び込む、自分で手を動かしてデータを触る」ということについて、LD 田端さんがご自身のとても面白い体験を書いて下さっています。

「マガジンハウスのBRUTUSが、毎年、3月15日発売と 9月15日発売に発売される号で、何を特集するか?私はきわめて正確に言い当てることが出来る」

というお話です。

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岩瀬さん風にいうと、「勉強する力=見切る力」であり、その内実は、「全体像を把握し、重点ポイントを見定め、出来ないことはやらない」ということになる。

しかし、気をつけて欲しいのは、「見切る」ということは「楽をする」あるいは「手を抜く」ということでは決してない。

岩瀬さんは、A4書類で20ページくらいの紙に入ったデータ入力のような仕事でも、出来る限り、自分でやるということだ。そんな単純作業こそ、外注か、アシスタントにでも任せて、もっと「付加価値の高い」ことをやるべきだ、というのが、よくある発想だが、著者は「それは違う」と言い切り、実際に手を動かして、データを触っているからこと、見えてくるものがあるのだ、と主張する。

この部分にも、私は強く同意をする。実体験なので紹介しよう。

マガジンハウスという出版社が、BRUTUSという雑誌を出している。号によって特集する内容は、巨人軍だったり、理想のビーチについてだったり、 Youtubeだったり、と特集がカバーするジャンルは非常に多岐に渡っている。しかし、私は、マガジンハウスのBRUTUSが、毎年、3月15日発売と 9月15日発売に発売される号で、何を特集するか? きわめて正確に言い当てることが出来る。

その2回の号では、必ず、ファッション特集なのだ。

3月15日発売では、春夏のスーツなどのファッションが、9月15日発売では、秋冬のファッションが特集される。雑誌の特集というのは、編集長と、編集者が、クリエイティブにブレストをやって、ワイガヤ決めている印象があるだろうが、これは広告代理店に広告主であるアパレルメーカーまで含めたギョーカイのお約束的な慣習なのだ。

なぜ、そのことに気づいたか・・。 今を遡ること 6年前の夏。私と、小林大祐さんは、たった二人のチームで、後のR25創刊の源流となるのプロジェクトを実行していた。

当時のリクルートでは、就職ジャーナルは就職、カーセンサーは中古車、ゼクシィは結婚式場というように、媒体ごとに明確にカバーするジャンルが決まっているのが通例だった。R25のように、雑多なジャンルをカバーし、一般広告主からの広告費で採算を取る媒体は、「企業としてのDNAにそぐわない」くらいに言われており、R25の事業化の承認は難産だった。

そんな中で役員会からは、世の中で、成功している雑誌は、どういうジャンルの特集を、どういう比率で行っており、どういう広告主が、そこに広告を出しているのか、徹底的に調べ、その成功パターンを抽出せよ、という宿題が出されたのだ。

そこで、本屋にいって、雑誌を買いまくり、自分がストックしていたBRUTUSやGQなどにいたっては、過去のバックナンバーから、特集内容と広告内容を全てデータ化していったのだった・・・。

丸ごと2週間ほど、様々な雑誌の毎号の特集内容と、その号の発売時期とをエクセルに落としていった瞬間に「ハっ」と気がついた。

BRUTUSがファッションを特集するのは、必ず判で押したように3月15日号と9月15日号だったのである。

一見、編集長のクリエイティブな「勘」で特集内容を決めているように見えるBRUTUSにすら、そういう特集内容に法則性があり、リピートで掲載しているファッションブランドが沢山あって、媒体としては安定収入源になっていたのだ。

こういう「雑誌広告業界のしきたり」に関する100本ノック的な下積みは、今でも大いに役に立っていると思う。
http://blog.livedoor.jp/tabbata/archives/50712560.html
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本を読む際には、このように常に自らの実体験に照らし合わせながら、「これって自分の場合はどういう意味があるんだろう?」と問い続けることで、はじめて血肉となるような気がします。

というわけで、引き続き新著キャンペーン中。まだの方、ぜひ手に取ってみください!
http://www.amazon.co.jp/dp/4479792694

明日から長い連休なのですね。僕は大阪にて講演。ゆっくりお休みください!

自分ブランディング2009年09月24日

ある国内MBAの方が、大阪の勉強会に呼んでくださった。20名くらいの集まりだったが、1時間半ほどお話をして、1時間半ほど懇親会に参加をして、失礼した。とても有意義だったので、皆さんもどんどんお声がけください!

さて、この方。経歴がとてもユニークで、興味をひかれた。

「大学卒業後、トラックの運転手をやっていて、独学で英語の勉強をはじめた。そこで外資系物流企業の募集を見て、『英語も物流も分かる人材』ということで採用をしてもらった。その後、MBAというものに興味をもち、国内の大学院に通った」

とのこと。

「え?そんな興味深い経歴なら、自己紹介のときにお話された方がいいですよ!」

というと、

「え?そうですか?自分では、どこか気が引けるところがあって・・・」

とのことだった。

また、別の機会にあったある女性のヘッドハンター。趣味は何ですか?と聞くと、

「え?ジムに通うこととか。。。」

「いや、他にもうちょっとユニークな趣味とかないのですか」

色々伺った結果、僕の中で彼女の「人物像」は、

「大学時代にチアリーダーをやっていて、卒業後は外国で働いてみたくてシンガポールに飛び出した。最近はお菓子作りにはまっている、茨木出身のヘッドハンター」

という風にインプットされた。

思うに、新たに人に会って自己紹介をするときは、印象づけるチャンス。その際に、どれだけ自分の人柄を表す、ユニークな紹介の仕方があるかを考えるべき。

皆さんは、どうやって初対面の人に自分を紹介しますか?


10月6日、出口がライフネット立ち上げ物語を六本木アカデミーヒルズで講演します。ぜひ、聴きに行ってください!内容が楽しいことは、僕がお約束します。

http://www.academyhills.com/school/detail/tqe2it00000a2kxe.html

スピーチ2009年09月28日

金曜の夜は、ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW http://www.hrw.org/ja) が主催のチャリティレセプションへ。前にも何度か紹介しているが、大学時代の友人の土井香苗弁護士が東京ディレクターを勤めている。

「中締めの挨拶をやって。内容はお任せするが、なぜビジネスパーソンがグローバルな課題に関心を持つべきか、そしてなぜHRW が大切なのか、という点について触れてほしい」

と依頼されたので、ざっくり以下のような話をした。

「主催者の土井さんからは~という話をするよう依頼されたのですが、お越し頂いている皆さんはそんなことはよくご理解されていると思います。そこで、私はまったく別の話をしたいと思います。土井香苗という人物について、です。

世の中には、たくさんの大切な社会的課題があり、それと向かい合うためのたくさんの非営利団体があります。それぞれが大切な存在であり、その社会的意義に優劣をつけることはできないと考えます。

とすると、私たちがどの団体を支援するかということは、その団体のミッションにたまたま個人的に共鳴するところがあるか、その活動に携わる個々人を応援したいと思うか、といった極めて個人的な繋がりがあることが大切だと思います。

私と土井さんとの出逢いは、いまから10数年前、大学入学直後に遡ります。私の高校時代の友人が、『好きな子ができた』と言ってきたのです。(以下、手がつかれたので略)」

というわけで、自分と土井さんとの出逢いからこれまでの話、特に何度も「この人、かなわない・・・」と思わされたこと、人権問題に正面から取り組んでいることへの敬意と、自分がやらなければいけないができないことをやってくれているのだから、精いっぱい応援しようと決めたこと、などをお話させて頂きました。

英語でやったのですが、笑いもたくさん取れて、割合好評だった様子。

自分には非営利団体について語る資格も、HRW について語る資格もないので、自分が「勝てる」切り口で攻めるしかないですよね。

* コメント欄に講演依頼を頂いた CO2Oさん、もちろん、喜んで!詳細などを、info アット lifenet-seimei.co.jp 宛てにお送り頂ければと思います。

紙芝居2009年09月29日

今日は出張講演シリーズで、リクルートのブライダルカンパニーへ。ここはちょうど一年前、2008年10月に、年に二回、1000名近いスタッフを集めて行われる「キックオフ」に際してお話をさせて頂いて以来の当番。

今日は20名弱の会合だったが、「前回お話ししてからの一年」というテーマで、いろいろ苦戦しながらも、なんとか軌道に乗っていく過程についてお話させて頂いた。

思ったのは、あるストーリーをワード形式の物語でまとめるのはなかなか大変だが、一度パワーポイント=紙芝居でストーリーを組み立てると、骨格やポイントが浮き出て、その後のライティングがやりやすいですね。

これからパワーポイント見ながら、立ち上げ物語を書こうっと。パワポ紙芝居を、上手に使いこなすことの大切を思い知らされました。

評論家になるな2009年09月30日

少し前、福岡で試験的に行ったテレビCMを見た人から

「メッセージが多すぎて、できが悪い」

というコメントを頂いた。

結果的にはテレビCMはうまくいって、その後も他の地域で放映を続けているのだが、このコメントを聞いたときは参考にしようと思わなかった。

これに対して、仮に

「自分は見たが、メッセージが多すぎて、印象に残らなかった」

といわれていたら、意見として聞いていたと思う。

一見するととても似たような二つのコメントだが、何が違うのか?

前者は評論家的な「分析・意見」であって、後者は一人のユーザーとしての「生の感想」である。

僕らからすると、評論家による分析は、興味がない。彼らより、僕らのほうが日々、真剣にお客様と向かい合って、試行錯誤している。

これに対して、ひとりひとりのユーザーの生の声は、とても気になる。もちろん、多様なユーザーがいるわけで、ひとりひとりの声を全部反映できるわけではないが、「こういうプロファイルの人が、このように感じた」というのは、とても大切な経営判断の材料となる。

もうひとつ、参考にしたいと思うのは、

「自分は似たようなCMを打ったことがあるが、メッセージが多すぎて、きちんと伝わらなかった」

という体験談。これも、自らがリスクを取って真剣に試してみて、起こった結果を共有してもらったものであり、大変参考になる。彼らが経験したことと、今回の内容。何が共通していて、何が異なるのか?

僕も人のビジネスに意見を求められた際には、できるだけこの二つの視点、つまり、①一人のユーザーとしての感想か、②一人の経験者としての意見を述べるようにして、③評論家としての分析は控えるようにしている。

でも、気がつくと、評論家的な分析をしちゃっている人(自分の反省の意味も含めて)、決して少なくないですよね。

【追記】
すみません、朝、家を出る前に急いで書いたので、書き方が悪かったかも。言いたかったことは、

・ 自分で実際にビジネスをやってみて、コンサルタントっぽい意見は聞きたくなくなった。コンサルや学者が書いたビジネス本も読みたくなくなった。

・ 本は、自分で体験したビジネスマンのものしか読まなくなった(P&G和田裕子さん、R25藤井大輔さんなど)

・ 生の消費者目線の声はたくさん聞きたい

もう一本、補足の意味でエントリーを書きました
http://totodaisuke.asablo.jp/blog/2009/10/01/4608537