年金は払っておけ!追記2009年08月28日

J-Cast の記事、反響あるだろうなと狙って書いてみたので、予想通りに反響あって嬉しい。

同サイトのコメント欄、および本ブログのコメント欄に、ちゃんとフォローしきれていなかった視点が書かれているので、コメントします。

論点は二つ。

1. 日経の記事「国民皆年金が空洞化」が意図することは?意図せずして世の中に与えている影響は?

2. 将来、年金財政は破綻するのか?やっぱり自分で運用した方が得なのか?

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まず、確かに日経の記事は、「国民皆年金が空洞化」とは書いてあるが、「年金財政が破綻する」とは書いているわけではない。

したがって、この記事が指摘したかったポイントは、確かに、Kさんがコメント欄で書いて下さったように、「年金財政が破綻すること」ではなく、「無保険者が増えて社会不安に繋がる」という意味なのかも知れないですね。そういう視点は、あまりなかった。不勉強をお許しください。

他方で、僕がこの記事を、Jキャストという若い人が読むネット媒体の、短い、気軽なエッセイコラムにおいて書こうと思ったのは、「賦課方式・税方式」「第一号被保険者、第二号被保険者」といった区別は意識せずに、なんとなく

「なんか年金って半分くらいの人が払ってないらしいから、将来もらえない可能性があるらしいよ。正直に払っていて、バカをみないかなぁ?」

と思っている人、そしてその考えをもとにちゃんと年金保険料を払っていない人が少なくなさそうなので、少なくともその考えは違うよ!と伝えたかったから。

そして思うに、そもそもこのような誤った理解が広まっていくのも、マスコミのトーンによってだと思う。

もし「無保険者が増えて社会不安に繋がる」ということがキーメッセージだとしたら、記事の見出しは

① 「国民年金の実質納付率、3年連続50%割れ」

でなく

② 「20~24歳は24.2%が将来年金をもらえない恐れ」

にして頂きたい。

①だと「払うのやめよ」って思うし、②だと「まずいまずい、払おう」って思うでしょう。思わないかなぁ。でも、①は誤解するよね、ほとんどの人は。

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二つ目の論点について。年金財政は破綻するのか?

少子高齢化で人口の年齢構成が大幅に変わるなか、現在の賦課方式だけでは絶対にもたないことは明らか。

しかし、国家として、公的年金を破綻させる、ということはあり得ないと思う。賦課方式+税方式+積立方式のハイブリッドで、何かシステムを作っていくのでしょう。そして、その結果としては、今よりも負担は増えるし、もらえる年金も減ることでしょうが、これはやむを得ない。

世代間の不公平の問題については、以下のような試算が出てますね:

・ 2010年に70歳になる世帯
⇒ 厚生年金保険料を900万円負担し、5600の年金を受給。6.5倍

・ 2010年に30歳になる世帯
⇒ 保険料負担3,000万円に対し、年金額は7,000万円、倍率2.3倍に落ち込みます

世代間の不公平が不信に繋がっているとされているが、おじいちゃんずるい!と文句を言ってもはじまらないのでは。それでも2.3倍になってるし。税金のマッチアップがある、というのは、やはり大きいと思う。

自分で運用した方が得だ!という人もいるかも知れませんが、そういう人はどうぞご自由に。税金による補填がないのはどうも不利な気がするし、40年に渡ってコツコツにポートフォリオ管理できる人って、そうはいないのではないか。

そもそも、自分一人で終身年金を準備するとして、いくら準備すればよいのだろう?78歳まで生きる前提?念の為、100歳?年を取ってからの資金管理で、毎月毎月定額を引き下ろすというオペレーションを、自分で本当にやっていけるのか?

また、年金は老後の生活費だけでなく、障害年金や介護年金もありますよね。これは、自分では用意しきれない。

やっぱり、公的年金は、自分たちの親の世代ほどは享受できないが、自力で100%やるのと比べたら、絶対におトクだと思う。

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というわけで、長々と書いてきましたが、僕がJキャストに書いた記事の目的は、

「とりあえず公的年金は、払っておいた方が絶対に得だ!」

ということ。それを短い文字数のなかで、シンプルに伝えようとした結果が、あの文章だった、というわけです。