贈り物2009年10月15日

昨夜は京都の学生の皆さんたちと大賑わい。

朝、メールを開いたら、「ささやかな贈り物です」というタイトルのメールが、軽い添付ファイル付きで送られてきていた。

開いてみると、「皆で岩瀬さんの本の感想文を書いてみました!」ということで、10ページ近く、自分の様々な本を丁寧に読みこんで書いてくれた感想文が添付されていた。

じーん、ときました。自分の作品を、気持ちを込めて読んでもらって、時間を取って考えをまとめて伝えてもらって、なんとも温かい心遣い。

僕も、素敵な本をくれた人には、やってみよう、と思った。どんな市販品よりも嬉しい、手作りの贈り物。

公開質問状への回答 - 生命保険のカラクリ2009年10月16日

ボストンに留学してすぐに、帰国する日本人から自動車を買った。車検手続きをするために日本人がいる保険代理店に行って、そこで合わせて自動車保険に加入した。

驚いたのは、保険料が住んでいる地域によって、丸っきり異なったこと。特にボストン市内は、安い地域と比べて数倍違ったように記憶している。一本道を隔てた隣の市でも、保険料が全然違った。

米国では交通事故だけでなく、自動車のガラスを割った盗難事故が非常に多い。だから、犯罪の発生率が違う地域で保険料が全然異なる、とのことだった。

これに加えて、走行距離や過去の事故歴も問題となる。日本人の担当者がいてくれたので、日本から無事故証明書を取り寄せて、それで安い保険料で手続きをしてもらうことができた。

保険だけでなく金融全般でそうだが(たとえば住宅ローンを想定してみよう)、「高リスク=高料率、低リスク=低料率」というのはリスクの引き受けを生業とする金融業の基本である。

逆に、そうせずに一律で料率を設定することは、リスク管理の観点(高リスク者ばかりが集まる)か、競争力ないし超過収益(必要以上に高い利率を設定する)の二つの点から望ましくない。

突き詰めていけば、原因と結果の因果関係を説明する統計データの裏づけがある限り、また、業務の安定的な運営上可能な限り、リスクの区分はできるだけ細かくしていくことが望ましい。究極的には、ひとりひとり、保険料が違ってもいいはずだ。

実際、米国では自動車保険の料率をさらに細分化すべく、保険会社が自動車に端末を設置し、詳細の走行記録(発進時のスピードの出し方など)を取り、事故率の関連を調べようとしている。

*****

生命保険(医療保険も含む。以下、同じ)についても、保険の金融的な側面から考えると、リスクに応じた料率設定が当然になる。喫煙・非喫煙の有無で料率が違う商品を、死亡保険についてはわが国の保険会社も販売している。
http://www.hoken-erabi.net/seihoshohin/goods/kenkotai01.htm

医療保険についてはまだほとんど存在しない。しかし、健康について努力をしている人がそうでない人よりも安い保険料ですむことはフェアとも考えられるし、そういう制度を設けることによって健康増進がかえって進む、とも考えられる。僕らのところにも、何社もの健康関連事業に取り組まれている会社から、相談が寄せられている。また、協会けんぽでは前月から都道府県別の保険料への移行を開始ししている。
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/8,12390,131.html

そして、遺伝子情報から各人の死亡リスクや疾病リスクも分かる時代が来れば、ひとりひとりについて個別の保険料を設定することも考えられる。

この考えに対しては、自動車保険などの原理を生命保険に当てはめるべきではない、との反論が考えられる。自動車保険とは違って、病気リスクを高める要因のなかには、先天的で本人がどうしようもないものも多く含まれるからだ。(遺伝子情報を例としてあげてしまうと生命倫理に関する議論にまで発展してしまいかねないが、本稿での趣旨とはずれるので捨象する。)

しかし、保険の原理原則から考えると、本人がコントロール可能なリスク要因か否かは料率設定に関係ない。信用リスクが低い人は、それが自分の責任であるか否かを問わず、高い金利払いを余儀なくされるのであるのと同様である。

生命保険についてリスク細分を推し進めるのが適当でないのは、これらが金融としての保険の側面だけでなく、社会保障としての側面を大きく持っていることによる。

社会保障は、憲法第25条で唄われている国民の権利であり、国家の義務である:

第25条
1. すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2. 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

民間生命保険は、このような憲法の趣旨を体現して国が運営する遺族年金・健康保険を補完するものなのである。

公的な保険は金融としての保険の側面よりも社会保障が主軸であるから、リスク細分どころか、「逆・リスク細分」ともいえる「リスクの再分配」が行われている。

つまり、年齢や健康状態によっても保険料率は変わらない。あるいは高齢者の方がもっと安い。実質的には高齢者から若い人へ、また病気の人から健康な人へリスクが移転されているのである。(これに所得比例も加わり、所得の再分配も行われている。)これは、「全員加入」を前提としているため、成り立つ方式である。

これに加えて、生命保険(特に医療保険)については「加入できる」というアクセスが大変重要になる。国民皆保険が存在しない米国では、保険料が払えない無保険者が4,600万人ものぼり、重症の患者が病院で拒否して死亡する事例なども相次ぎ、大きな社会問題になっている。

*****

では、民間生命保険では、どこまでリスクを細かく分けていくべきだろうか。

この問いは結局のところ、「生命保険の金融的側面と社会保障的側面をどこでバランス取るか」という問いにほかならない。

その答えは、公的な生命保険がどの程度の役割を果たしており、それを補完する民間生命保険がどの程度の役割を果たさなければならないのか、ということに依る。

たとえば、遺族年金と健康保険(公的医療保険)のカバー率が100%に近いとしよう。遺族に対しては生活するに十分な額の年金が支払われ、医療費の自己負担はゼロ。

このような制度のもとでも、民間の生命保険は「もっと欲しい」層に向けて商品を提供することが考えられる(5億円死亡保険が欲しい、など)。この場合、民間の生命保険には社会保障の役割は相当程度薄まっているのだから、金融的側面を全面的に強調し、ひとりひとり保険料が違ってもよいと考えられる。

では、わが国では公・民の割合はどうなっているのだろう。

手元には少し古いデータしかないのだが、

・ 死亡保障: 公 4.6兆円、民 3.4兆円
・ 医療保障: 公 14.8兆円(保険医療)、民 8,200億円

となっている(2001年度。新著「生命保険のカラクリ」p.117でも引用した)。これを見るとわかるのは、死亡保障では、民が公に近い重要な役割を占めることである。これに対して医療保険は公がメインであり、民は小さく補完するに過ぎない。

とすれば、この割合を所与のものとすると、結論は明確である。死亡保障については社会保障的な側面が強いので、あまりリスク細分を進めることは望ましくない(せめて喫煙、非喫煙程度か)。

これに対して、いくらかラグジュアリー(経済的ではなく、必ずしも必要のない心理的な安心を買っているという意味で)に近い医療保障については、社会保障の側面が低いので、統計上、そして引受実務上可能な限り、リスク細分を進めるべきなのである。究極的には、一人ひとり保険料が変わってもよいと考える。

この場合、たとえば先天的に病気の人は高額の保険料を払わない限り医療保険に入れない、というアクセスが問題になるが、このような人への「リスク・所得の再分配」は、(少なくとも現状の枠組みでは)民間生保が行うことではなく、公がやるべきことなのである。

もっとも、この議論は、医療保険においても民間の割合が高くなっていったら変わってきて、死亡保障の結論に近づいてくるものと考える。

*****

以上が、新著「生命保険のカラクリ」に関する「書評兼公開質問状」として小飼弾氏から頂いた質問、「生命保険においてどこまでリスク細分を進めるべきか?」に対する回答である。
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51307506.html

小飼さん、ご紹介ありがとうございました!

新著、いよいよ明日(10月17日)から大手書店を中心に発売開始です。小さい本屋さんは、もう少し後になるかも、とのこと。文春のサイトで序章が立ち読みできるようなので、ぜひ!
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784166607235

「生命保険のカラクリ」の評判2009年10月19日

土曜から新著「生命保険のカラクリ」が売り出されたので、週末は本屋さんをいくつか見にいった。都心の大型書店には他の文春新書(今月は8作出ている)とともに並んでいた。本の減りかたが多かったり少なかったりに一喜一憂したり。


そして、色々な方から嬉しい書評を書いて頂いている。今日はここで「新著の評判」ということで一気に紹介。


まず、「課長の教科書」他、ベストセラーを連発している酒井穣さん:

本書は、電車で片道4時間という時間をかけて、創業者である岩瀬さん自ら、はじめての死亡保険金を払いに行くシーンからはじまります。30代の若さで奥様と赤ちゃんを残してこの世を去ることになった被保険者の祭壇に線香を立て、手を合わせ、目をつぶった岩瀬さんは、そのときに大切な何かと向き合っていました。(中略)
自分史を織り交ぜつつ、拡張高く生命保険のカラクリに迫る本書は、これまで岩瀬さんが執筆してきたビジネス書とは明らかに性質が異なります。読みものとして優れているだけでなく、本書は、しっかりとしたデータに基づいた生保業界の内部告発になっていて、資料としての価値も高いと思います。 
http://nedwlt.exblog.jp/12579613

「生命保険の罠」が大ヒットとなり、数多くの雑誌やウェブに登場されている後田亨さん:

昨日、一気に読みましたが、出口さんや生活設計塾クル-の方々の本同様に、今後、何度も読み返すことになりそうな一冊でした。内容は多岐にわたり、しかも浅くないので、上手くまとめることが出来ません。ただ、随所に岩瀬さん個人のエピソードが盛り込まれていて、一般の方も読み進めやすいのではないでしょうか。
http://blog.livedoor.jp/medicalhoken/archives/65184871.html

dankogai さんには

プロのための「生命保険入門」を、異業種から参入した著者が同書の著者から直接学び直した上で、ユーザー向けに最新事情を交えながら書き直したのが本書。生命保険を買う--あるいはあえて買わない--にあたって、本書は必携の一冊となるだろう。
と評して頂いた上で、公開質問状という形で「リスク細分保険をどこまで進めるべきか?」という哲学的な問いかけを頂きました。 http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51307506.html

「マインドマップ的読書感想文」でカリスマ書評ブロガーとして有名なsmoothさんには、【世帯主必読?】というタイトルをつけて頂いた上で、以下のコメントを頂きました:

正直、私自身も本書で指摘されているような、日本の生保の販売手法である「GNPセールス」(義理・人情・プレゼント)に近い形で加入しているようなモノだけに、「知らなんだ」的な情報が満載でした(単に無知なだけかもしれませんが)。
おかげで、もう契約しちゃっているのに付箋貼りまくりでございます。
   【中略】
そもそも、生業としている営業さんと、私たちとの間には、恐ろしいくらい情報量の差があるわけで(情報の非対称性)、それを少しでも解消してくれるのが、まさにこの本ではないか、と。

* この書評が、本の内容についてもっとも詳しく書いて下さっているので、ぜひ内容に興味がある皆さんは、お読みください!

http://smoothfoxxx.livedoor.biz/archives/51736786.html

というわけで、「ハーバードMBA留学記」が2004年~2006年に学んだことのまとめだとすれば、今回の「生命保険のカラクリ」は2006年~2009年に学んできたこと(の一部)を本にしたもので、自分のなかでは「留学記」の続編、とも言えるくらい力を入れて書いたものです。


アマゾンは在庫切れになっているようなので、ぜひお近くの書店などでお買い求めください!文藝春秋のHPからも購入できるようです。

http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784166607235
http://www.amazon.co.jp/dp/4166607235

国際保険ワークショップ2009年10月20日

一橋の米山高生教授が主宰されている「国際保険ワークショップ」に参加するために、お昼から国立へ。

会場は「佐野書院」という、初代学長の邸宅を改築した建物。静かで落ち着いた雰囲気。
韓国から先生を招いて、「米国におけるシートベルト着用義務化と自動車保険損害率の関係」という発表を聞き、皆で議論した。

早稲田ファイナンス研究科所長の森平爽一郎教授が席がお隣で、途中1時間くらい、米山先生と李先生と4人でキャンパスを散策しながらいろいろお話できた。

終わってからは先生方を囲んで懇親会。よく学び、そしてよく飲んで話をした、充実した一日でした。先生がたからAPRIA(アジア太平洋保険学会)への会員登録を取りつけられました~。

私の10枚2009年10月21日

友人が引っ越したので、お祝いにジャズのCDを10枚プレゼントすることになった。自分なら何を贈るか?ジャズ好きな仲間との間で話題になった。

あまりにメジャーすぎる作品はつまらないし(もう持ってるかも知れない)、かといってマニアックすぎるものでは聴いてもらえない。ある程度、時代もサウンドも広くカバーしたい。10枚に厳選することの難しさを痛感した。

Relaxin' とか Waltz for Debby とか Stan Getz のボサノバとかはいいのだが、ベタすぎるので入れず。結果、選定委員会が選んだのが以下。ジャズ好きな皆さんだったら、どれ選びますか?

* 選定委員会:ジャズ好きの商社マンN氏、某マネー誌前編集長H氏

1. Thelonius Monk Trio (1952)
Thelonious Monk (p) Gerry Mapp (b) Art Blakey (ds) Max Roach (ds)

初心者にはやや難解だが、Evans も Mehldau も皆、影響受けてるそうです。「間」の取り方が絶妙。

2. Candy (1957)
Lee Morgan (tp) Sonny Clark (p) Doug Watkins (bs) Art Taylor (ds)

これぞバップ。しかもピアノが Cool Struttin のソニー・クラーク。

3. Full House (1962)
Wes Montgomery(g) Johnny Griffin(ts) Wynton Kelly(p) Paul Chambers(b) Jimmy Cobb(dr)

ノリノリ。ウェスお得意のオクターブ弾き。

4. Alone (1968)
Bill Evans (p)

Undercurrent も大好きだが、あとで Jim Hall 出てくるのでここはエヴァンスのソロで。

5. Nefertiti (1968)
Miles Davis (tp), Wayne Shorter (ts), Herbie Hancock (p), Ron Carter (b), Tony Williams (ds)

けだるい感じがなんとも言えない。サウンドがちょっと新しい。

70年代を入れたかったけど、Return to Forever も Weather Report も、あまりにベタなので、やめておきました。Crystal Silence 好きですが。

6. Standards Vol. 2 (1983)
Keith Jarrett (p), Gary Peacock (b), Jack DeJohnette (ds)

一曲目のSo Tenderをはじめ、曲が全部いい。

7. Power of Three (1986)
Michel Petrucciani (p), Jim Hall (g), Wayne Shorter (ts)

montreux jazz festival で実現した夢のトリオ。あ、Shorter二度目の登場だ。

8. People Time (1991)
Stan Getz (ts), Kenny Barron (p)
ゲッツが死ぬ前の最期のレコーディングだと思う。

9. Moodswing (1994)
Johua Redman (ts), Brad Mehldau (p), Christian McBride (b), Brian Blade (ds)
事実上、これがブラッドメルドーの世の中へのデビューかも。3曲目とかタイトなリズムがカッコイイ。
http://www.amazon.com/MoodSwing-Joshua-Redman-Quartet/dp/B000002MS1

10. Play Moriccone Part 2
Enrico Pieranunzi (p), Marc Johnson (b), Joey Baron (ds)

イタリア映画音楽巨匠、モリコーネの曲を、イタリアのエンリコが弾く。ベースはエヴァンス最期のベーシスト、マークジョンソン。

ちょっとピアノが多いですね。個人の好みがかなり反映されますな。

3周年2009年10月23日

ライフネットの開業日は2008年5月18日なのですが、会社設立日は2006年10月23日。なので、今日、3歳の誕生日でした!

毎年、5月18日は全社で祝うこととし、10月23日は出口と二人でひっそり祝うことにした。そして、クリスマスはお互いの家族と一緒に。

今日も二人で食事をして、過去を振り返り、そしてこれから3年、5年、10年で大切なことを話し合ってきた。

しかし、あっという間ですね、3年という月日は。これから3年後、どんな風になっているのだろう。

今日は疲れたので、もう寝ます~。よい週末をお過ごしください。

雨の日は2009年10月26日

高額療養費制度について書いてみたくなる。

高額療養費制度とは、医療保険における自己負担の月々の上限を定めた制度で、標準的な所得の方であれば、8万円+αですむことになっている。

たとえば1カ月の入院で150万円かかったとすると、自己負担3割は45万円になるが、高額療養費制度が適用されれば約10万円ですむのである。

社会保障国民会議の座長を務めた東大の吉川洋教授は、「私は、日本の医療保険は3割負担ではなく高額療養費制度が担っているとさえ考えている」と語っている
http://hpij.exblog.jp/9985988/)。

この制度に関して理解があるか否かで、将来の医療費負担に関する準備がまるっきり変わってくることになる。

にもかかわらず、制度の認知度は低い。内閣府の調査によると、20~30代では2割前後、40~50代でも3割前後である(http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je09/09f33160.html)。

この認知不足の影響は無視できないほど大きい。日本医療政策機構の調査によると、「医療費に不安」と86%の人が答えている
http://www.healthpolicy-institute.org/ja/report/doc.php?id=192)。

その結果、将来への不安によって消費が抑制される可能性がある(含む、民間医療保険への過剰な加入)。

それでは、このように認知度が低いことの責任は誰にあるのか?言い替えるならば、この制度を認知させるための努力は誰がすべきなのか?

第一義的には、国であることは間違いない。たとえば、健康保険証の裏にでも大きく書くとか、配布時に説明書を配るとか、いろいろとやり方はありそうだが、ひとまずは「安心してください!」的なメッセージがあってもよいのでは。

そして補完的に、医療保険を売っている民間保険会社も説明義務を負うと考える。公的健康保険を補完するものを売っているのだから、前提として公的保険をきちんと説明すべきではないか?
http://www.lifenet-seimei.co.jp/insurance_medical/benefit/index.html

実際には、高額療養費制度を考慮したのちの、「真の自己負担額」をきちんと説明している会社はまだ少ない。自ら都合が悪い情報は伝えないのではなく、きちんと情報を与えた上で、選んでもらえるようにすべきだと考える。

制度が違うが、ドイツでは「公的保険か民間保険か」を選ばなければならないらしく(高額所得者などは手厚い民間保険を選ぶ)、その際にはきちんと公的医療保険の仕組みを説明することが義務付けられている、と聞いています。

mark your calendar2009年10月26日

マザーハウスの山口さんとのトークイベント、12月10日決定しました!

しかも、司会役がマネックス内藤さんで、嬉しい。

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主催:講談社
場所:日経新聞カンファレンスホール(大手町)
http://www.nikkei-hall.com/access/index.html
日時:12月10日(木)18時半受付 19時開場~21時
定員:400名
参加費:5000円
申し込み方法:講談社ホームページ(現在作成中)
テーマ:――講談社新媒体発足記念イベント――
     夢をかなえる働き方
      ~チェンジメーカーたちが語るプレミアムトークセッション~

出演者:山口絵理子氏
     岩瀬大輔氏
     山崎大祐氏
     内藤忍氏(コーディネーター)
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定員は400名+会費5000円なので、おそらく抽選漏れ、ということはないと思います。申込画面は1週間後だそうですが、忘年会などでお忙しい季節、今のうちからスケジュールをブロックしておいて頂ければと思います。

Stay tuned!

増刷!2009年10月27日

「生命保険のカラクリ」、お陰さまで大好評。出版社の方からは、「客先から ガンガン注文が入ってます!」という嬉しい知らせがあり、発売して一週間以内に 増刷が決まっていました。


色々なところで感想を読み聞きしていますが、内容は業界人にとっては常識的 なことばかりであっても、業界外の人にとっては「目からウロコ」の話ばかり。


保険の営業の方からは「ありきたりな話」というコメントがありましたが、違 うのですよ。それは毎日、生保の話しかしていない人にとってはありきたりな話で あって、一般の人にとってはそうでないのです。


また、営業やってる人の立場からは、結局、自分が生活をしていくために、自 社の保険を売らなければいけないので、どうしてもその視点からしか提案ができな い(「あなたは保険はいらない」とか「貯蓄商品は生保ではなく投信の方がいい」 とは言えない)。


僕は、もちろんライフネットの保険に入って欲しいですが、それは二の次であ って、まずは「本当のこと」を語ることに意味があると思っているので、それがご 支持頂いている点では、と思っています。


ベストセラー「生命保険の罠」の著者の後田さんからは、こんな嬉しい感想も :

いろんな読み方ができる本ですが、読後感として残ったのは、「熱いものは伝わってくるのだけど、岩瀬さんの『私心』はあまり見えない」というものでした。
営業現場に関して言えば、本人は私心を隠しているつもりでも”臭ってくる”ような人も少なくない業界です。
ライフネット生命は、販売手法も従来のものとは違いますし、単純に比べるつもりもありませんが、私には、このことがとても新鮮で、好ましく思えました。

その他の皆さんの感想は、こちらから:

http://smoothfoxxx.livedoor.biz/archives/51736786.html
http://louise200.exblog.jp/12208978/
http://yaplog.jp/parsleymood/archive/858
http://bestbook.livedoor.biz/archives/50871801.html

まだ読まれていない方は、ぜひ、ご一読ください!アマゾンにも在庫がたくさん入りました。

http://www.amazon.co.jp/dp/4166607235

事業者の努力義務2009年10月28日

保険会社の情報提供義務について、消費者契約法を一つの軸にして、理論構成を作ることができそう:


【事業者及び消費者の努力】

第3条1項

 事業者は、消費者契約の条項を定めるに当たっては、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容が消費者にとって明確かつ平易なものになるよう配慮するとともに、消費者契約の締結について勧誘をするに際しては、消費者の理解を深めるために、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容についての必要な情報を提供するよう努めなければならない。

 ここで求められる情報は、「契約の内容についての」「消費者の理解を深めるために」「必要な情報」である。したがって、消費者の理解を深めるための契約内容そのものの情報のみならず、契約内容そのものについて消費者が理解を深めるために必要な情報もここでの情報提供の努力義務の対象となる。

 例えば、契約の対象である当該商品以外の商品との比較情報が、契約の内容となる当該商品につき消費者の理解を深めるのに必要であれば、情報提供につき努力義務の対象となり得る。(略)

 以上、要するに事業者は、契約の締結について勧誘をするに際しては、契約内容について消費者の理解を深めるのに必要な情報であれば、契約内容そのものの情報に限定することなく、幅広い情報を提供するように努めなければならない。

(「消費者契約法」落合誠一著より)

 生命保険契約をきちんと理解するためには、必ずしもその契約に関する詳しい情報を教えてもらっただけでは足りず、そもそもの保険の仕組みだとか、他の商品との大まかな比較(トレードオフ)などを教えてもらえないと、適切な意思決定はできないように思う。


 しかし、業界の人にそういう話をすると、


 「自分たちが取り扱っている商品を超えて情報提供する義務はないのではないか」という。


なんか、おかしいな、でもどうやって理論武装すればいいのか、悩んでいるところでした。


法律家の皆さん、お知恵を貸してください!