反対の意見を持つ人との歩み寄り方2009年10月02日

いま終わった会議で、出口と意見が合わず、合意にたどり着くまでいつになく時間がかかった(最終的には納得+合意)。

これまでは意見が合わなくとも、その理由が早く見つかり、それでどちらかが(主に私ですが)「そっちが正しい」ということで引き下がっていたのだが、今日はそこに行くまでに30分くらいかかった。

出口の意見を聞きながら、必死に考えていた。どこですれ違ってるのだろう?

そもそも、相手と意見が合わない理由は、以下の三つのいずれかである:

a) 判断の前提となる事実や要素が異なる(必要な情報が共有できてない、要素が認識できてない、あるいは誤って認識されている)

b) その事実に基づく論理構成(理屈の立て方)が異なる

c) そもそも前提となる価値観・世界観が異なる

これまで出口と議論していて意見が違ったのは、大抵の場合が「前提となる事実認識の違い」だった。

「だって、①②③って考えたら、結論はAじゃないですか」

「僕もそれは考えたけど、それに加えて④⑤⑥⑦⑧も考慮すると、現時点ではBにしておいた方がいいんじゃない」

「(くっ・・・また負けた)確かに・・・そこまでは考えてませんでした・・・」

それは言い返せば、c) 価値観と、b) ロジックの組み立て方は似ているから、判断のインプットとなる事実要素さえ共有できていれば、結論に齟齬が生じるということがなかった、ということである。

しかし、議論をしていて途中で気がついたのは、今回は c) の世界観、というとちょっと大げさだが、保険の仕組みについてどう理解するか、という点において齟齬があったのである(私が理解不足だった)。

それに気がついたら、すっきりした。なるほど、そもそもそういう風にとらえればいいのね。とすると、同じ要素を前提としても、導かれる結論は異なる。

というわけで、皆さんも会議などで議論をすることがあり、相手と意見が異なる場合は、a, b, c のどこですれ違いが生じているか、考えてみたらよいかも。その結果、どこで歩み寄ればいいか、どこをきちんと説明すれば納得してもらえるかが、明らかになると思います。

よい週末をお過ごしください!

コメント

_ エストシ ― 2009年10月02日 16:52

議論を醸成させたい時に、aが不十分で議論が浅くなることが多々ありますね。議論の前までにどれだけaを共有した状態に持っていけるか、いつも悩みます。今まではリードする側でしたが、これからはまたリードされる側で、ますます難易度を感じています。なにはともあれまずは相手の気持ちに立つところからでしょうか?

_ 通りすがりの外資生保 ― 2009年10月03日 13:42

岩瀬さん、こんにちは。

これは議論のみならず、「保険販売」でもまったくその通りですね(笑)

①c)を確認しつつ、己の持つ価値観や世界観の啓蒙にトライして

②その上でa)に関しての腹を割ったフェイズ合わせをギリギリまでして

③b)を議論しないからお客様は納得できないのだと思います。


今の保険業界はc)とa)という消費者サイドに立ったら一番重要なポイントを表面的かつ手前味噌なロジック、あるいは薄っぺらな一般論や心地よく響く模範解答であいまいに放置しながら、b)に関して個別商品でのカバレッジやコストを強調することで競争しようとしてるようにしか思えないのです。

c)とa)について握り合えれば何においてもあとは戦術、方法論であり、モノゴトを推進するために譲歩し合えるベターソリューシュンは見えてくるような気がします。

_ 苗村屋 ― 2009年10月06日 17:21

以前、尊敬する上司に「仕事に摩擦はあって当然」と言われたことがあります。私は空気が読めない割りに、相手がどう思っているかを気にするタイプで、ついつい遠慮して反対意見が言えなかったのですが、最近は立場も変わり、仕事としてキチンと意見を言わなければと考えるようになりました。

岩瀬さんも『金融資本主義を超えて』で「反対意見を述べることは、決して相手に失礼なことではなく、よりよい解を導くために必要なものなのだから」とおっしゃっていますね。活発な議論は、社内を活性化させると思います。今日は誰と議論しようかな(笑)

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