ゼロ金利の弊害2010年10月13日

今朝の日経新聞で、大手生保が長期金利の低下に伴い養老保険の保険料を引き上げたことが書かれていた。

長期の金融商品である生命保険にとって、低金利の影響は大きい。「生命保険のカラクリ」でも紹介したが、ゼロ金利政策に伴い、養老保険の保険料は50年前の1959年よりも高くなってしまっている。

(30歳、30年満期、保険金100万円の養老保険の年払い保険料)
1946年11月 37,600円
 ↓
1959年4月 28,900円
 ↓
2001年4月 31,416円
 ↓
2010年9月 ○○○円(同条件で調べていません、失礼)

実現できない予定利率を約束するわけにはいかないので、保険料の引き上げはやむを得ないわけだが、それにしてもゼロ金利政策が利息収入の逸失という意味で家計にとって大きな打撃になることを感じる。

金利の引き上げは国債の利払い増、企業金融への打撃などを考えて難しいのは理解したうえであえて言うが、いわば(一時的な危機的状況はさておき)定常状態で長期金利が3-4%で生き延びることができない企業を、本当に延命させる必要があるのだろうか。

そもそも金利収入を得たことがない世代は、複利効果や資本コストといった概念を理解することが難しい気がする。小学校の時にイギリスにいて、形だけの銀行口座を作ってもらったが、引き出すのに小切手にサインしたり、毎年利息が払われているのを見たりして、幼心にもお金が増えている様子を体感したものだった。

金利の概念を体感する機会が失われるほど、国民の金融リテラシー(という表現が許されるとして)が弱くなっていくような気がする。