保険学会全国大会にて報告2010年10月25日

10月23日(土)、24日(日)の二日間に渡って日本保険学会の全国大会が開催された。二日目の「経営・経済・商学系セッション」にて「ネット生保の実態と将来像」とのタイトルで報告を行った。

(報告要旨)
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsis2/conference/resources/h22/abstract/iwase.pdf

(当日のプレゼン資料)
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsis2/conference/resources/h22/resume/iwase.pdf

内容はネット生保について販売だけでなく、申し込み以後のオペレーション面を「非対面ゆえに引受リスクが高まるのではないか」という観点について説明した。また、ネット生保のいいところばかりでなく、抱えている色々な課題についても共有した。

最後の結語は、以下の通りで締めくくった:
• ネット経由の申し込みは若者中心に増えており、今後も成長すると考えられる。もっとも、顧客属性は偏っており、どこまで一般化できるかはまだ分からない。

• ネット生保は営業効率を高める可能性を秘めているが、ネットに置き換えたから自動的にコストが下がるわけではない。マーケティングの工夫が必要。

• 引受リスクは今のところ大きな問題となっていない。もっとも、これは現状の顧客属性によるところも大きく、今後は悪化する可能性は否定できない。

• 契約後の顧客管理については、ネット以外の手段を用いた連絡などで顧客保護を図ることが不可欠。

• ネット生保以外の生命保険会社にとっても、自社のビジネスモデルにどのようにしてネットを活用していくかは、経営の重要な戦略課題となろう。

*****

今後も、自分たちのビジネスに集中するだけでなく、そこからのラーニング・学びを業界に還元できるようにしたいと思います。

コメント

_ passer-by ― 2010年10月25日 22:53

「契約者は20 代-30 代が8 割弱を占め、46%が生命保険に初めて加入する契約者である。」という点が非常に興味深い。何故ならこれがネット生保の抱える大きな課題を呈示していると思われる。つまり高齢者からの乗り換え需要がほとんど取り込めていないことを示唆しているのではないか?日本の個人資産の太宗が高齢者の預貯金であることを鑑みれば、この層からのシフト需要を取り込めない限り、大手生保の地位を脅かす存在になるのは難しいのではないだろうか。高齢者に対してネット生保のメリットを如何に啓発出来るかが鍵ではないでしょうか?大手生保の対面サービスとネームバリューによる安心感への対価を惜しまない高齢者の層を切り崩すのは相当難しいのではないでしょうか?今の若者が中高年になっている頃には、恐らくネット生保は大手生保の一角に追いついていると思われるが、それまでの間は大手生保との棲み分けがしばらく続いているのではないでしょうか?

_ kazuhiro.iimura ― 2010年10月26日 01:57

プレゼン資料拝見しました。申込顧客の職業分布について、IT・金融の比率が高いことはネット生保のニュースが気になる人が多い業種だからなのだろうなと感じる一方で、専門サービスが高いのは岩瀬さんのコンサル出身の経歴やアントレプレナーとして注目&応援している人が多い業種なのだろうなと勝手に納得してしまいました。自分もそうですが。

_ thoyama ― 2010年10月27日 11:58

このサイトを最近初めて知りました。生保業界の者ではないですが、業務上関わりが深いので、とても興味深く、いつも楽しみに読ませて頂いております。貴社の業界の変えたいというその志には大変敬服しております。今後とも頑張ってください!

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