国内承認遅れの海外医薬品2010年08月25日

昨日の日経新聞一面、厚労省のプレスリリースのような記事が出ていましたが、これはポジティブニュースという理解でよいのでしょうか?詳しい方、コメント頂けたらありがたいです。

「国内承認遅れの海外医薬品 保険適用迅速に

厚生労働省は23日、海外で標準的に使われているが国内では保険適用外の抗がん剤などについて「医療上の必要性が高い」と判断した場合、迅速に保険適用する方針を固めた。」

記事によると、日本の新薬承認プロセスが遅いため(平均4年、米国では1年半)、海外では標準治療薬なのに、国内では保険適用外となっている薬がいくつもある。この結果、抗がん剤など、患者に大きな経済的負担を強いている場合がある。

もっとも、患者や学会が早期承認を求めているのは全体で374件、今回認められたのは「別の疾患の治療薬としては国内で承認されており、日本人への安全性が一定程度、確認されている」5薬品とのこと。まだまだ、道のりは遠そう。

この問題、どう考えるべきなのですかね。

保険適用の承認が下りていないものは、未だ安全性などに疑いがあるのでそれらを使うことは望ましくない、という判断はそれなりの合理性があるようにも思える。他方で、海外で標準的に用いられているなら、(日本人への治験が十分でなくとも)問題が少ないように思える。人種による薬品の安全性の違い、かなりあるのだろうか。

仮に、安全性は確保されていて、もっぱら手続(+厚労省、医師会などが国内医療を管理したいこと)の問題だとしよう。保険適用対象が増えて行くことで医療費が増えるのは問題だ、という意見もあるかも知れない。しかし、たまたま行政手続が終わっていないために、患者が多額の自己負担を強いられるのは不公平、とも考えられる。

これが本当にタイムリーに進んでいったら、民間医療保険の必要性はますます下がるかも知れない。もともとは「保険適用外の出費に備えましょう」というのが売りなので。

思うに、本来我が国のように皆保険制度が確立している国(そして安定し続けるという前提)では(ドイツなどと同様に)、民間医療保険は「誰もが入るもの」ではなく、どちらかというと裕福な方々が「保険適用の医療では満足できない方々が、より高い出費を伴ってでもいい医療を受けたい」というニーズを充たすための保険、という色彩が強くあるべきではないか。

というわけで、考え中のプロセスをつらづらと書いてみました。この問題、医療や医療制度に詳しい方、もう少しインサイトを頂けたらありがたいです。