高齢者の医療費2010年08月23日

90歳を超えた祖母が入院していて、父と叔父で入院費用をずっと負担しているということを母に聞いた。ブログで取り上げようと思って机の上に積んだままになっていたのが、8月17日(火)の日経記事。

「医療費3.5%増 伸び最大 - 70歳以上、総額の44%」

2009年度の概算医療費は前年度比3.5%増の35兆3000億円。これは会社員や自営業者が払う保険料で約半分、税金で4割弱、患者の自己負担が約1割。今年の増加分の半分は75歳以上の医療費が占めた。

今後、高齢化が進むに連れ、医療費が増加していくのは目に見えている。とすると、取りうる方策は限られている。

1. 給付を抑制する
→ 医療のムダを無くす。これは必ずやらなければならない。

2. 税金を追加投入する
→ 国の財政は厳しいので限界あり

とすると、

3. 負担を増やす 

しかないわけだが、具体的には

(1) 現役世代の負担を増やす
(2) 高齢者の負担を増やす

の二つのオプションしかない。いずれかから選ぶとすると、(2) 手厚い給付に応じて、負担を増やすことがフェアだと考える。

そもそも、高齢者と一括りでいっても実際には多様である。収入や資産に応じて公平な負担を求めるべきである。「後期高齢者」などとグルーピングするから「姥捨て山」という批判を浴び、政治的にも実現が困難になるわけだ。

年金収入だって収入であるにはかわりはないのだから、ここは一旦年齢という括りを外して、すべて収入および資産で応分の負担を求めることはできないだろうか?

年金しか収入がないお年寄りが不安なのは分かるが、所得が低くても家族を養わなければならない現役世代、しかも将来は負担が増えるが給料が上がるかも先行き不透明で分からない世代だって、その不安は同じではないだろうか?

高齢者の医療費負担額を増やすことが政治的に困難であるなら、例えば「年金給付金額の引き上げ」と同時に「保険料+自己負担額の高齢者優遇撤廃」を実行してみたらどうだろう。当初は金額で互いに相殺するようなレベルに設定する(年金給付1兆円増、医療費負担1兆円増)。

そして、負担の引き上げについては、「高齢者を冷遇する制度から、年齢を問わず負担能力に応じた公平な制度への転換。富裕層に、もっと医療費を負担してもらおう」みたいなキャッチで伝える。

あるところで、橋下大阪府知事が「日本はもうお金がないんです。ぜんぜんないんです。ワガママ言う余裕はもうないんです。国民に言い難いことを伝えて説得するのが、リーダーの役割である」といったことを言っていた。まったくもって、そのとおりである。

高齢者の医療費は簡単な問題ではない。が、「政治的に無理」ということで思考停止せずに、なんとか突破口を見つられないものか。

コメント

_ 苗村屋 ― 2010年08月23日 19:17

「給付を抑制する 」の一環かもしれませんが、そもそもの医療コストの見直し(=削減)というのも必要ですよね。医療にかかっているコストを分解して、削減策を考えていく。

コスト分析:医師に対する報酬、看護士への給与、病院など建物や医療設備の減価償却、医薬品の代金、などなど。

削減策:看護士への給与については、一部の介護サービスなどで移民の受け入れを検討する、ペーパーワークなどはアウトソーシングを活用する、建物・設備については、メーカーへの協力を求めるとともに、一層厳格な入札制度を適用する、薬品についてはジェネリック薬品をもっと活用したり(医薬品メーカーには怒られるでしょうけど)特許の期間を短くする。などなど。

私も田舎に90歳の祖母がいるので、他人事ではありません。。。

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