高齢化社会と保険会社の役割2010年07月05日

先週、世界第二位の保険グループであるアクサグループのCEOの話を伺う機会に恵まれた。

曰く、これからすべての先進国が社会の高齢化という問題に直面する。そこでは、まだ元気な60歳が仕事を退職し、人口が減りつつある勤労世代がその後の生活を支える、という構図は成り立たなくなっている。

そこでは、定年制の柔軟化、年金の負担と給付を再設計する必要があるが、民間保険会社が果たしうる役割も大きい。40歳から備えを始めてもらい、長寿リスクを皆でシェアすれば(いわゆるトンチン年金の発想)、財政的には支えられるはずだ。

実現するには色々と課題があるのでしょうが、長寿社会も保険会社にとってチャンスと捉えて、従来の年金商品(死亡時に積立金が返却され、トンチン性がない)ではない、新しい商品が出てくる環境が整うことを、期待したい。

コメント

_ ns ― 2010年07月05日 20:35

トンチン年金の発想いいですね。まとまった額を今預けると死ぬまで毎月一定の額を払い続けてくれる年金があるといいなと思っています。

たとえば、65歳定年時に5,000万円の預金が残っているとして、その預金をどのように切り崩しながら老後を楽しめばよいか、というのはなかなか難しい問題だと思います。80歳くらいで死ぬだろうと思っていても、さらに長生きする可能性を考えると折角ある現金を思い切って使っていくのは難しいですよね。もし、今、5,000万円支払う代わりに死ぬまで毎月15万円もらえるような年金があれば安心して自分の資産を使い切れそうです。高齢者の資産が世の中に流れれば一定の経済効果もありそうですし。

_ Coram ― 2010年07月05日 22:54

今の年金保険は、資本を持たない炭鉱労働者や工場労働者(日本だと資本のある自営業の農業従事者も含む)向けにできたものなので、加齢と就業不能リスクは比例(付加価値を生み出す能力は身体能力に比例し、身体能力は年をとるほど弱まる)していたのでしょうが、社会が高度化し、身体をあまり使わずに社会に価値を与えることのできる知識労働者が増えるにつれ、加齢による就業不能リスクに備えるという年金保険本来の意義は薄れたのだと思います。このため、年金が保険というより貯蓄と捉えられているのが現状だと思います。しかし、保険がリスクに備えるものという本来の意義や、もはや加齢自体が就業不能リスクに直結するものでなくなっているのであれば、就業不能保険の性格を強くした保険に置き換え可能ではと思います。一方、70代、80代と年をとるにつれ、職務能力以前に生活能力が落ちてくるので、自助で備えれる人は貯蓄をもとにして生活支援サービスを購入し、出来ない人には衣食住の生活支援を公的サービスで提供し、ここに公費を重点投入するというのがいいと思います。もちろん生活レベルは自助の人を上回らないようにしないと自助の層が薄くなるので気をつけないといけませんが。
こういう仕組みを前提にすれば、民間保険では就業不能保険や自助努力を支援する貯蓄性の高い保険サービスを提供するという役割が期待できるのではないかと思います。

_ 通りすがりの外資生保 ― 2010年07月05日 23:45

素晴らしい課題提起であり、有意義な議論だと思います。

公が尻込みするからこそ、民がチャレンジしフィージビリティを検証すればいいのかも。

無責任?(笑)

_ 読者 ― 2010年07月06日 00:38

民間生保は公的制度の補完が役割。
トンチン制度にする必要がない。
それこそ、御託並べて他社に求める位なら
御社でやってみたらどうだろうか?
絶対できないが・・・

_ sugiyamahayato ― 2010年08月06日 12:46

なぜトンチン年金が認められないのか?
「これからは、死ぬことより、長生きすることの方がリスクである。」
と、本音を言ったら大変なことになるから?
今までは「生きてる人が死んだ人を…」「働いている人が働けなく
なった人を…」だったけど、「死んだ人(の分)が生きていて働けな
くなった人を助ける」っていう事もアリだと思うけど…

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
このブログの著者の名前(フルネーム)を、漢字で記入してください。

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://totodaisuke.asablo.jp/blog/2010/07/05/5201831/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。