サッカー勝利から学ぶ日本再生2010年06月25日

今朝の歴史的勝利から、日本経済の競争力強化について学べることがあるのではないか?日本の若者たちが、十分に世界に通用するレベルであることを示してくれた。

以下、Jリーグができたくらいにまで遡って、その発展の経緯を考える。サッカー、まったく詳しくないので想像だけで問題提起してみるので、詳しい方、アイデアを膨らませてください。

まず、人材の開国がなされた。世界から選手が入ってきて(本当のトッププレイヤーではないし、人数もそれほど多いわけでもないが)、日頃から世界レベルでのプレーを体感するようになった。普段から会社に、いや社会に外国人がウロウロしていたら(=移民)、幾許か国際感覚は高まりそう。

プレイヤーだけでなく、マネージャーにも外国人が招かれるようになった。ついには、日本代表にも外国人が招かれるようになった。企業もトップや幹部職に外国人を上手に招き、さらには中央官庁などのキーとなるポジションに優秀な外国人に助っ人で入ってもらうことをすればよいのでは?幕末から明治にかけての「お雇い外国人」制度を復活させるわけである。年金基金やかんぽの運用トップなんかは、Calpers (カリフォルニア州年金基金、世界最大手)の人間を連れてくればいい。

そして、若い選手がどんどん海外に出るようになった。そういう選手が、帰国して再活躍したり、代表試合に選ばれる。企業も官庁も政治も、もっと若手の多くを海外に送り出し、帰ってきたらジュニアなポストではなく、経営や政策の鍵となる仕事に抜擢してみたらどうか?

監督と選手、今の布陣だけでなく、例えば「ラモスやカズにはお世話になったので、代表チームに入れてあげよう」とか、「川淵チェアマンが監督に30年君臨とか」とか、「せっかくワールドカップに行ったのに試合に出られない人がいるのは公平じゃないので、皆少しずつ出場できるようにローテーションを組もう」などと言ったら、チームの競争力は削がれるし、非現実的だろう。

でも政治や経済、企業の世界では、サッカーの世界では起こりえないようなことが、未だに行われているのではないか。60代・70代の人がリーダーのままでいる。主要国の首脳が40代である現在、このような年次の人がリーダーを務めている実態は、2010年ワールドカップにラモスが出場しているのと変わらない。(あ、個人的にはラモス好きですけど、昔は活躍したがもう現役では無理、という例えに過ぎません)。年輩の方々が若者に譲り、イキのいい若手に重要なポジションをもっと任せることはできないか?首相は40代、大臣は全員30代とか。企業のトップも30代、40代が世界では増えつつある。一番脂が乗っている時期に。もちろん、ベテランの知恵や経験も上手に活かしつつ。

加えて、企業は国境を超えて厳しい競争にさらされているのに、そのような競争環境から目をそらし、競争力がないものを守ろうとする。セーフティネットを用意することと、競争させることは別に考えるべきなのに。

そして、一人のカリステマィテックな存在と、彼の周りのチームプレイヤーが、お互いを尊敬しあっていることで、日本の強みであるチームワークが、改めて世界で勝負する競争力の源泉となっているわけである。それは、日本がかつて輝いた時代と、何ら変わっていない。

というわけで、漠然と、「今朝のサッカーのような光景が、政治や経済でも再現できたら、日本は元気になるのに」と考えて、書きなぐってみた次第。これ、皆でブラッシュアップできないでしょうか。

コメント

_ trak0905 ― 2010年06月25日 13:22

活気ある組織というのは下の世代からの突き上げが必要不可欠ではないかと思います。
ベテランだけの組織又は下の世代からの意見が通りにくい組織というのは活気に欠けるのかなと。
その点からいくと岩瀬のおっしゃっている事は日本再生を考える上で必要不可欠だと思います。
ただ、それを行うのは若かろう良かろうでは無く上の世代に対しての尊敬の念が必要だとも思います。
何だか当たり前の事を書いててすみません…

これからの更なるご活躍を期待しております。

_ ktch ― 2010年06月25日 15:30

サッカーについては、「日本は後進国、本場は海外」という価値観が根付いているから、「外で活躍すると日本でも活躍できる」
・「若いころから単身で海外に飛び出す人はすごい」・「海外からマネジメント招へい」ということになる。
野球だと、「日本野球」という概念がかなりあり、「外国人は日本野球になじめない」・「高校野球から日本のプロで、FA取ってからメジャーが『スジ』」・「監督は日本人か、百歩譲って日本をすごく理解している外国人(バレンタインとか)」。

で、ビジネスでは・・・ということです。

サッカーでの日本・海外の「人」や「ゲーム」に対する価値観(海外の圧倒的優位、日本は後進)と、日本のビジネスの「人」や「ルール」についての価値観が違い過ぎる気がします。
なので、サッカーからのアナロジーで、「ビジネスでも人材の開国を!」とはならないとは思います。

個人的に嬉しいのは、
「高い目標を掲げ、自らの道を貫き、批判を集中的に受け、結果については選手をほめた監督」
「組織が設定したよりも高いバーを自らに課す、しかしあくまでチームのために働くエースストライカー」
「気合いを全面に押し出し、高まる期待に応え続けるキーパー」
といったロールモデル像が広く分かりやすく日本の若者に影響を与えていることです。

_ ライフネットファン ― 2010年06月25日 19:47

こういう議論でいつも思うのは、では老人?50代以降の人たちはどこに行けば良いのだろう?ということだ。
人間、引き際が一番難しいとは良くいったもので、やはり仕事から退いていく時に、人は何かしらの寂しさを感じるのだろう。
そしてそれは意外と仕事から退いていけない事の重要なファクターになっている気がする。
とはいえ、若者たちもそんな感傷によって押さえつけられていてはいけないのもまた事実。
老人たちが少なければ良いけど、日本の場合は多い、多すぎるから老人たちの第2の仕事場を見つけない限りは、難しいかも、と最近思っています。

_ 有田一喜 ― 2010年06月27日 01:56

日本の(年齢ベースの)重心である上の方の方々に取っては今の状況が心地いい、というインセンティブ、さらにはカリスマを容認しない国民性をどう打開するか、がポイントなような気がします。

自分のため、じゃ無くてチームのために本当に考えられる、本来日本人が得意そうな領域をしっかりやる事ではないでしょうか。本来FWの大久保がMFをやったり、最大の立役者が(表向きは腐らず)ベンチにいる、そんな事を。

日本であれば世代を超えて、次の世代のためにどこまで上の世代が譲か、であり、其の譲ってもらった物に安住せずに日本という単位でパイを増やす若い世代が出てくるか、なのでしょうね。

今のこの熱のある時期に、何らか決める事ができたら良いですね。

_ はじめまして ― 2010年07月12日 21:02

本田選手も、「もっと若い世代が海外に出るべき」と言っていたそうです。その真意は分かりませんが、意図としては岩瀬さんのおっしゃることのほぼ同じだと思います。自分もアジアからの留学生とワークショップで一緒に学び、その英語力の高さやビジネスセンスに驚嘆したことがあります。
べつに刺激をうけるのは海外の人限定ということではなく、しかし日本に限らず世界から探せばその道の一流がたくさんいる可能性が高い、その可能性を高めることで多くの日本人が一流に触れて鼓舞される可能性が高まるということだと思います。

そして、上のほうの世代がどう若者にポストを譲るかについてですが、おそらく今の国会財政を反映して仕事を離れ安定した稼ぎを失うことの不安や今の状態(給料は高いが、仕事も若者ほど要求されず、安定している)への安住があると思います。

前者の不安についてはともかく、後者については、国全体としてみればこれだけ若い層の就職難や過剰労働、ワーキングプアが問題視されている現状があるのですからエゴといわれても言い逃れできません。

たとえば就職難の時代に若者に起業せよとの声がきかれますが、起業に必要な人脈やビジネス経験は年長者のほうが多く持っているのですから、定年後はボランティアや肩書き程度の働きをするというのではなく、起業家として国内の雇用を自ら創出していくというくらいの人材が年長者から出てきたほうが、日本全体としては好ましいのではないでしょうか。業界の人脈的な部分や業界勢力は年長者が握っているので、経験ゼロの若者にイチから起業をさせるのは無謀すぎます。

また、ベンチャーであってもトップが老齢者であるというのは、ノウハウや経験の継承に有利です。若者の弱点を補うことができます。ただいたずらに定年を引き上げるというのは、よっぽど注意しなければただ仕事もろくにせず安定と高給だけを求める層を会社に残しつづけることになりかねないと危惧します。日本の企業はまだまだ年功序列なので意思決定の権限は年長者に残りつづけます。これを若い世代に譲渡すれば必要ないと判断された年長者は排除されるか地位を縮小だけであって、一律な定年引き延ばしはそれでもう自己矛盾をはらむのですから。

とはいえグループ企業などへの出向・天下りではグループ企業の焼け太りにつながるだけであって、あくまで年長者が新規の市場を切り開くくらいのことがなければいけないのかもしれません。しかし、それはあくまで美学であって、大方の年長者は既存のシステムで利益を得るのですから、新たなことへのチャレンジは避けるのでしょうね。そこはもうノブレス・オブリージュの世界であって、新規開拓へのインセンティブは働きません。

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