生命保険入門(新版) - final2010年01月08日

生命保険入門(新版)の気に入った箇所を紹介するシリーズ、最終回。ひとつひとつ、本を見ながらテキストを打ち込んでいたら、編集に携わった同僚から「言ってくれればデータ送りましたけど・・・」だって。いや、本のテキストを自らの手で写す(タイプですけど)ことによって、その言葉が自分の血となり肉となる。そう思い、今回も自分で書きます。

● 日本の生保業界、国際化への想い

「国内市場が異様に大きかったこともわが国の生保が海外展開に二の足を踏んだ理由かもしれない。また、海外展開や業務の多様化については、生保のみならずわが国の銀行も全体としては似たりよったりである。内向きの体質は、1940年体制の下で長く規制に慣らされてきたわが国の金融界全体の宿痾なのかもしれない。しかし、われわれが東京で外国の銀行や保険会社を親しく目にするのと同じ程度に、ニューヨークやロンドンで邦銀や日本の生損保の活躍ぶりを目にしたいと望むのは、どだい無理な注文なのだろうk。そうではあるまい。そうなったときに初めて、わが国の金融産業の国際的な競争力が復活したといえるのだろう」(p.155)

* そうだ、いつからか、諦めていたが、できないわけではない!ガンバレ日本の金融機関!

● 出口が大手生保の社長になったらやりたかったこと

「生命保険業界の将来 - 発展シナリオ

・・・A社は、大手生保と大手損保が手を組み、X年前に都市銀行を傘下に収めたのを皮切りに巨大な金融コングロマリットに成長した。現在のA社は、東京にある持ち株会社をヘッドクォーターとして、投資銀行、リテール(商業銀行と保険)、アセットマネジメントの3つの分野で成功を収めている。投資銀行部門は、中国人・米国人のスタッフの方が日本人よりも多いと言われており、その本部は上海に置かれている。・・・A社は(アジア等からの)日本への留学生を優先的に採用する企業としても国際的に知られている。・・・

A社の保険部門の売上比率は、現在国内が80%、海外が20%だが、(朝の7時から夜の11時まで働くと評判の)40歳のCEOは、10年先には、積極的なM&Aにより海外比率を50%に引き上げたいという野心的な「グローバル50ビジョン」を先日打ち上げたところである。・・・

また、アセットマネジメント部門(トップは30歳代の英国人)の運用成果が優れているので、A社の確定拠出年金や、投資信託、変額保険は実によく売れている。なお、A社のコールセンターは中国の大連に置かれており、そこから国内2,000万人の顧客に対して24時間サービスを提供している。

A社は、就職人気ランキングの常連であるが、それは定年が70歳(ただし役員定年は55歳)ということも一因である。国籍や年齢・性別に関係なくほとんどのポストがFA(フリーエージェント、立候補制)化されており、また360度評価が徹底されているので安心して働ける。前任のCOOが役員定年前に自ら進んでリタイアした後、故郷の支店長にFAチャレンジして見事に採用されたということでニュース欄を賑わしたのはつい最近のことである」(p.174)

うーん、こういった会社が作れたら素晴らしいですね!というわけで、出口のアツイ想いがこもったこの本、ぜひ皆さまも読んでみてください!

http://www.amazon.co.jp/dp/4000236873