ネット選挙と世代間の不公平2010年07月12日

ネットやTwitterだけ見ていると、多少は選挙が盛り上がるのかと思っていたのだが、蓋を開けてみると投票率は57.9%で前回を下回ったそうだ。感想としては、「これで日本経済がよくなるのかどうか、よく分からない」結果だった。比較的 pro-business な政策を主張しているみんなの党の影響力が大きくなったことは、歓迎すべきなのだろうが。

選挙の大きな争点とはならなかったのだが、わが国において取り組むべきもっとも大きな課題の一つが、世代間の不公平である。

既に年金・医療を中心とした社会保障において、若い世代が割を食う、といったことはよく報じられている。「年金は払うだけ損だ」みたいな記事はよく見かけるし、書籍でも
「孫は祖父より1億円損をする 世代会計が示す格差・日本」
「若者は、選挙に行かないせいで4000万円も損している?」
といったものが出版されている。

このように高齢者優先の施策が取られる理由が、若者の投票率が低いことにある。ざっくり言うと、60代の投票率が75%であるのに対して、20代は35%だそうだ。確かに自分が政治家だったら、ただでさえ人口が少ない上に投票率も低い若い人たちの言うことに、耳を傾けるインセンティブは小さい。

若い世代の利益を政治に反映させるためには、まずは彼ら(我ら)の投票率があがらなければならない。この点、ネット選挙(選挙活動だけでなく、本来はネット投票も含む。グーグルとかに発注すれば、セキュリティ上問題ないシステムを、超安価で作ってくれそうなのに?)の解禁・普及が果たす役割は大きい。

昨日、参加した座談会で聞いたのだが、ネット選挙に強く反対している政治家も官僚もいないそうだ。たまたま、今回は菅さんが国会を早く撃ち切って選挙に入ってしまったため、成立に至らなかっただけ、とのこと。

選挙がスタートすると、皆が自粛してしまい、ぴたりと政治に関する言論が途絶えた。これは健全ではないと思う。また、ネットやTwitter上の「世論」と、実際の投票行動においては大きな乖離があり、これもネット世代の感覚とリアルの投票行動が結びついていないことを表しているだろう。

そんな理由で、世代間の不公平を解決するためのひとつのきっかけとなりうる点で、ネット選挙が解禁されることを、期待したい。もちろん、それがすべての問題を解決してくれるわけではないが。

コメント

_ ぽぽる ― 2010年07月12日 18:03

その前に、twitterで検索されない語句があった(まだ不自然な部分が多い)事をだれも報道しない世間が気持ち悪くてしかたありません。
選挙管理委員だって正常に動いていない様子。おかしな選挙活動をしても誰も罰されない民主党。
偏向報道ばかりのマスコミ。

_ ともぞ ― 2010年07月12日 20:33

はじめまして。
一人の若者ですが、投票は行きました。
投票に行かない若い世代は3種類に大別できるように思います。

1.岩瀬さんのおっしゃるように若い世代は人口的な割合も小さいからどうせ意見は反映されまいとのあきらめの境地から選挙への出席すらあきらめている層。

2.そもそも、不在者投票さえ行えないほど忙しくて物理的に時間がとれない層。

3.何らかの障害などを持っており単純に、投票しにいけない層。

1.の人はあきらめているからといって投票率が下がればそれだけ「政治に無関心」という字の論拠として取り上げれてしまうので、ますます墓穴を掘っていると言えるでしょう。

2.と3.については、若者に限った話ではないかもしれませんが、2.についてはよく若者の過剰労働が指摘されているので、取りあげてみました。3.は若者に限った話ではないです。たしかに、セキュリティさえしっかり整えれば、わざわざ投票所まで出向かせ投票させる理由はないのでは、と思ってしまいました。今回の選挙で、私が指定された投票所も坂をかなり下ったところにあり、体に障害をお持ちの方や高齢者にとっても投票しずらい場所。雨など降れば車いすで出向くのも危険でしょう。
確かにインターネットリテラシーを考慮しても、ネットを使っての投票は高齢者というより若者が多くなるかもしれません。しかしながら、建前とはいえとりわけ「全国民のため」を声高に叫ぶ政治家がネット投票に本気で取り組まないあたり、あえてマイノリティである若者が政治に参加すればそれだけやりにくくなる、という本音が見え隠れするように思えます。そうとなれば若い世代が自分たちの声を政治に少しでも反映させるには、2や3、あるいはセキュリティ上の安全を論拠にネット投票の普及を訴えたり、投票可能年齢を引き上げたりという要求をしていくしかない、と思ってしまいます。

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