保険募集に関する論点 ― 2009年06月10日
2009年6月3日、金融審議会の保険ワーキンググループが「中間論点整理(案)」を取りまとめた。
個別論点としては①情報提供義務、②適合性原則、③募集文書、④広告規制、⑤募集主体、⑥募集コスト開示、⑦募集人の資質向上、⑧保険金支払、⑨商品のあり方、⑩保険料積立金等の支払 が掲げられているが、ほとんどのポイントが「保険商品に関する情報提供のあり方」に収れんされると思った。
つまり、多くの人が
(i) 生命保険の基本的な仕組みを理解し(公的保険と民間保険のすみわけ、貯蓄と保険のバランス、保険料と保障範囲のトレードオフ、どういう場合には支払われないかなど)
(ii) 自分にとって必要な保障を大まかに捉え(死亡保障、医療保障、老後保障をそれぞれどの程度確保するか)
(iii) その保障を確保するために自分にとってベストな保険会社(手厚いサービス+高保険料 か さっぱりサービス+低保険料)を選びやすい環境が整備されていれば、
多くの問題は解決されるわけだが、その多くは「クレディブルな(信用できる)主体によるフェアな情報提供」によって解決されるはずだ。
例えば、生命保険文化センターが出している「ほけんのキホン」という冊子は、生命保険の基本的な仕組みを理解するためには恰好の素材であり、すべての保険会社に対して募集時の事前交付を義務付けるべきとも考えられる。
また、医療保険については公的保障と民間保険とのすみわけについてもっと説明を義務付けるべきだし、貯蓄と保険のバランスについても説明する必要がある(現状の短期入院の保険であれば、「貯蓄が十分あれば不要」という考えも十分になりたつ)。
そして、必要な保障についてある程度の理解が得られたら、あとは複数の保険会社を比較して、自分にとってどこがベストか、つまり各社の商品サービスがどのようなメリット・デメリットがあるのかを判断するためにも、たとえば私が尊敬するベンチャー経営者のひとりである浜田佳治氏率いるアドバンスクリエイト社が運営する保険市場は、保険会社や販売側の論理ではなく、もっぱら消費者の立場に立った保険選びを実現しようとするための素晴らしいプラットフォームを提供しているし、当社が進めようとする募集コストの開示もまた非常に有用になるはずである。
なんていう原稿を書いているので、頭の整理のためにブログにまとめてみました。
コメント
_ sugihaya ― 2009年06月11日 13:57
_ passer-by ― 2009年06月11日 16:08
_ 通りすがりの外資生保 ― 2009年06月12日 12:10
意外でした^^;
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そもそも「保険に対するニーズの多様化」って言い回しからすると、「保険商品を多様化させて分かりづらくした犯人は消費者!」っていうふうに感じてしまうんだけど…違うかな~? 極端な言い方かも知れないけど、『契約時のトラブルも、保険金の不払いも、元々は消費者が悪いんだ!』と感じてしまったのは、私(消費者)の僻みだろうか?
だいたい消費者は、そもそも保険会社に、貯蓄や、老後や、介護や、人生設計までをもサポートして欲しいなんて期待していたんだろうか?大多数の消費者は、元々は「自分に万一の事(死)があったら、残された家族のために」か、「ケガや病気でもしたら入院費を」ぐらいしか、保険会社に期待してなかったのではないだろうか-。
そして、保険会社も「その期待」に応えるべきと、『相互扶助』の精神の下、誠実に保険会社の役割も全うして来た。ある時期までは……。
ところが、何時からか保険会社は、その使命を忘れ、金儲けに走ってしまった。「こんな特約を付ければ、消費者はもっとお金を出す」と思ったかは分からないが、養老だの、終身だの、年金だのと……。
で、結果、もともとシンプルだった保険商品は、難解ものになり、契約時のトラブルや不払いなどの問題を抱えるようになった…。
つまり、今日、商法から脱皮して、保険法が生まれ、色々な規制が出来、そのために色々な書面を用意して、キチンと説明して…なんて聞くと、消費者にとって良いことのように思えるが、これらのことを実行するためには、当然コストが掛かり、そのコストは誰が負担するかと言えば、消費者……。
なんか矛盾を感じる。なんか変じゃないだろうか?
保険会社のツケを消費者が負担するなんて!!
保険会社が本来の使命を忘れずにいてくれたら、契約者(消費者)と保険会社間のトラブルや不払い事故などの大半は、起きずに済んだのではないでしょうか。保険はやっぱり、「金融商品」ではなく、相互扶助の上に立った「慶弔見舞い」であるべきだったと感じました。(今更、手遅れ…?)
でねっ、せめて保険会社の中にあっても、ライフネット生命だけは消費者に正直であってほしいものだと思うのですよ。シンプルで分かりやすく正直に…お願いします。
追伸 生保文化センターが発行している「ほけんのキホン」は、平易に書かれ、非常に分かりやすいが、消費者の事を本当に親身に考えているならば、生命保険で準備するお金はいくら?のコーナーで、保険にはいる必要額は、生活費や学費から公的保障や企業保障を控除した額で十分としていることは評価できるが、必要額は変化するものですから、一歩進んで逓減定期保険の有効性まで言及して欲しいものですね(儲からなくても)。