ソーシャルアプリと生保2009年05月21日

Infinity Ventures Summit初日は、ミクシィ笠原社長によるミクシィのオープン化戦略に関するプレゼンテーションと、続いて米国のSNSアプリケーションのリーディング企業2社とミクシィの原田氏によるパネルディスカッション、そのあとにもう一つ別のパネルを挟んで、ディナー前にはドコモiModeの生みの親である夏野氏とグリーの田中社長、ヤフーのモバイル事業責任者である松本氏によるパネルディスカッションを聞いた。DeNAの守安氏も最前列に座っており、何度となく意見を求められマイクを向けられていた。

いまやインターネット業界の「新・御三家」はミクシィ、ディー・エヌ・エー、そしてグリーの三社と言われていることから分かるように、大きな流れとしてのThe Next Big Thingは、SNSのオープン化とその上で展開されるソーシャルアプリケーション、そしてこれらを利用するプラットフォームとしてのモバイルの成長であるとのコンセンサスがすでに出来上がっているようだ。

米国ではすでにFacebookやMySpace.comの上で使われるゲームなどのソーシャルアプリケーションが急成長しており、ミクシィもこのような動きを促進させたいようで、笠原社長が熱心にこの市場の将来性と、それを活性化させるためのミクシィの支援策について語っていた。

従来型のコンテンツ(ニュース、天気、検索、求人、映画など)が「オンデマンド性を生かしたパーソナライズコンテンツ」という特性があったのに対して、ソーシャルアプリでは「共有、共鳴」と「コミュニケーション」がポイントとなる。例えば同じ占いでも、ソーシャルアプリだったら友人との間の「相性占い」となるわけだ。

このようなソーシャルアプリケーションは今後、大きく成長すると言われている。では、それはライフネットのようなビジネスにどのような意味があるのだろうか。これまでのソーシャルアプリケーションというと、どちらかというとエンターテインメント性が強いゲームが多かった。今後はマネーなどもかかわる実用的なアプリケーションにも発展していくのだろうか。生保×ミクシィで面白いアイデア、ありませんかぁ。

時間を取ってこのようなカンファレンスに参加する意味は、二つある。一つは、インターネット業界の先端を走る方々との出会い。この場で知り合い、親しくなった人は多いし(プレゼンを見て一目ぼれしてアプローチすることもしばしば)、それがきっかけで一緒に仕事をしている人たちもいる。

もう一つは、大きな技術のトレンドを肌で感じることである。今回、ライフネットは新たに「モバイル生保」を発表したが、これも何度となくこのカンファレンスに出ている中で、「間違いなくインターネットはモバイル中心に移行していく」ということを痛感してきたことの影響が大きい。たとえば、ミクシィではすでにモバイルユーザーがPCユーザーの二倍になっているというし、グリーはモバイルへの戦略転換によって大きく飛躍した。

もちろん、カンファレンスに来なくとも「モバイル大事だよね」ということは分かっているだろうが、問題は「どれくらい大事?どれくらい真剣にやる?」という判断で変わってくるのだろう。生保でいえば「あの小さな画面で申し込まないでしょう」という意見が強いし、社内でも、「まだ時期尚早では」という雰囲気だった。

今回リリースするものはまだまだベータ版に近いのだが、どこよりも早くサービスインし、実際のユーザーの導線を注意深く観察し、サービスの改善をし続けることで、本当に「モバイル生保」が大きな可能性を持つような時代が到来したときに、もっともいい位置に立っていられるのだろう。