開業1周年!2009年05月18日

ライフネット生命は5月18日で、開業1周年を迎えました。これもひとえに皆さんのご支援の賜物。重ねて感謝申し上げます。

1周年記念ということで、これまでの歩みを振り返ってみようと思います。

【2008年5月】
・ 16日 神保町・学士会館にて開業記者会見を実施
・ 18日 無事に開業!当日は4時前から出社。一番乗りで申込み
・ 21日 「生保は金融ネットビジネスの『最後で最大のフロンティア』
・ 24日 朝日新聞Be のフロントランナー他、テレビ・新聞などで幅広く取り上げられる

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【2008年6月】
・ 4日  J-WAVE "Jam The World" 出演
・ 4日   「素泊まりの旅館のような保険」(プレジデントオンライン)
・ 12日 夕刊フジにて特集記事
・ 16日 出口がWatch!で小飼弾氏と対談
・ 21日 本社オフィスにて保険相談会を開始
・ 30日 BS11「ネット生保が拓く可能性」に出口が出演
・ 保有契約: 459件、59億円

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【2008年7月】
・ 1日 保険市場とサイト連携開始
・ 7日 初の業績開示。約1ヶ月半で全国から800件以上の申し込み
・ 東京・名古屋・大阪にてセミナーを精力的に実施
・ 申込件数471件

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【2008年8月】
・ 11日 IT Media に素敵な記事が掲載される(「ライフネット生命」――たった2人で始まった、営業ウーマンいらずのネット保険)。はてブがたくさんつく。
・ 13日 「ライフネット生命が別に安くないし、役にも立たない件について」という記事にも注目が集まる。
・ 27日 モバイルサイト開設
・ リクルート住宅情報マンションなびカウンターにて保険セミナー実施(4回)
・ 申込件数494件

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【2008年9月】
・ AIG破綻で金融危機が本格化
・ 12日 契約者アンケートを実施。保険を見直した方の平均削減額が月6,942円
・ 24日 保険相談会を実施
・ 29日 JRにて大型広告を1週間実施
・ 29日 日経新聞主催のシンポジウム「ルールを創る:企業家精神と法
・ 申込件数533件
・ 月末の保有契約:1,418件、198億円

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Careerzine

【2008年10月】
・ 1日  保険市場、カカクコムなどのネット保険代理店と提携開始
・ 11・12日 FPフェア2008にブースを出展
・ 15日 スペル・デルフィン氏(沖縄プロレス)と対談
・ 28日 生命保険加入者1,000名の実態調査を発表
・ 申込件数631件

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【2008年11月】
・ 21日 付加保険料を開示
・ 29日 「生命保険は誰のものか」(ダイヤモンド社)を出版
・ 2回目のJR広告を実施
・ 申込件数619件

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【2008年12月】
・ 8日 「業界初!“保険の原価”を開示したライフネット生命に怨嗟の声」がYahoo!トピックスに掲載され、一晩で24万PVが殺到
・ 13日 ご契約者様感謝Dayを実施
・ 22日 マネックス証券、ニッセンと代理店開始
・ 25日 「私はなぜ生命保険の原価を開示したか」(ダイヤモンドオンライン)
・ 当月は申込みが968件で過去最高を記録
・ 保有契約:2,712件、373億円

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【2009年1月】
・ 19日 吉本芸人が出演する動画プロモーション「特別コント講座 生命保険」を実施
・ 22日 オバマ大統領の支持率89.7%の調査を発表。各種テレビ・雑誌などで取り上げられる。その後、毎月のように調査リリースを実施。
・ 25日 「シャインになりたい!」で千原ジュニアと対談
・ 28日 アジャイル・メディアと共同でブロガーイベントを実施
・ 出口が社内で席を譲ってくれた心優しい若者に、ライフネットカードを配るカウンター攻撃
・ 申込件数 973件で前月に続き過去最高を記録

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【2009年2月】
・ 9日 JCB、ニフティなどと代理店契約開始
・ 10日 「超凡思考」(幻冬舎)を出版
・ 12日 麹町界隈でビラ配りなどを精力的に実施
・ 19日 情報開示に関する調査~知りたいのは「彼氏の年収」「彼女のお金の使い道」~
・ 申込件数が1,062件で、はじめての千件超え

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【2009年3月】
・ 2日 「ライフネット生命、出口社長が語り尽くす生命保険のカラクリと原価開示のスゴさ」(マイコミジャーナル)
・ 11日 ふれあいフェアを実施
・ 11日 週間ダイヤモンド「プロが選ぶ保険1位」に選ばれる
・ 26日 ウーマンエキサイトにて出口ブログ開始
・ 「志バナー」の配布を開始
・ 申込件数、1643件で過去最高を達成
・ 保有契約:5,116件、701億円

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【2009年4月】
・ 10日 「直球勝負の会社」(ダイヤモンド)を出版
・ 13日 日本初の新型バナー広告をmixi、RSS広告社と共同で開始
・ 28日 J-キャストにて連載開始
・ 月間成立件数が1,121件で過去最高

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【2009年5月】
・ 8日  「金融資本主義を超えて~」を出版
・ 10日 申込み累計1万件突破
・ 18日 開業1周年。ウェブサイトへのユニークユーザは176万。6月1日より本邦初の「モバイル生保」開始をリリース

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というわけで、振り返ってみると、いろいろありました・・・しかし、私たちの挑戦はまだまだ続きます。引き続き、ライフネット生命を、どうぞよろしくお願いいたします!

モバイル生保の可能性2009年05月19日

モバイル生保

開業1周年である昨日に発表しましたが、6月1日付で、携帯から保険の申し込みを受け付けるサービスを始めます!ヤフーニュースでも取り上げて頂き、いろいろと話題になっている模様。


「ケータイで読めるの?」という指摘があるようですが、我々もあの小さな画面内ですべてを説明できるとは思っておらず、パンフレットや送付資料とうまく連動させながら、パソコンを持っていないか、あまり使わない層向けに便利な申込み経路を提供できればいいなと思っています。


実際に何度も使ってみているのですが、デザインをきれいにすれば、ブログ記事を携帯で読むように、そこそこの文章量は携帯画面でも読めるものであり、かつなんだかケータイだと、より自分に密着している気がして、これ、時間をかければ結構イケルかも、と思いはじめました。じっくり育てていきたいと思っています。


もうひとつが、今日発表になったNTT東日本との業務提携。中期的には、「お客様の更なる利便性向上や健康支援を目的とし、生命保険の業務プロセスにおける光ブロードバンドの活用に関する共同研究ならびに、ヘルスケア分野等異業種との連携による次世代のライフサポートサービスの提供などについても取り組んでいきます」と考えているのですが、できることから色々とトライアルでやっていきたいと考えています。


せっかく新しい会社を創る機会に恵まれたのだから、他社がやらないことに積極的に挑戦しよう。そんな思いで、今後も新しい展開を続けて行きたいと思います!


先日アナウンスした開業記念セミナーはすでに定員の200名を超えており、あと若干名で締め切る予定です。ご希望の方は、お早めにお願いします。

ヘビメタ弁護士との再会2009年05月20日

毎年恒例のInfinity Ventures Summitに参加するため、昨日から札幌。昨年の同イベントで、「初音ミク×野菜×生保」の異色パネルディスカッションでご一緒したクリプトン・フューチャー・メディアの伊藤社長のご厚意で、昨夜は札幌 Biz Cafe にてセミナーをやらせて頂いた。


昨日はその前に、ちょっと嬉しい旧友との再会があった。昼間に大通りを歩いていると、見覚えのある名前が視界に。「すがさわ法律事務所 弁護士 菅澤紀生」 5年以上会っていない、古い友人だ。あぁそういえば、札幌で独立開業したと言ってたな。しかし、たまたまランチをしに入った店の隣のビルだなんて・・・


アポなしでエレベーターを6階に上がると、事務員が一人の小さな法律事務所で、クライアント相手に厳しい口調で電話をしている彼の姿があった。10分くらいで電話を終えると、僕の顔を見てびっくり。なんでここにいるんだよ。がっちり握手。


彼との出逢いは司法試験合格後だったのだが、ちょっとした勉強会を一緒にやった。彼が率先して、環境問題について著名な研究者のアポを取って、話を聞きに行ったりした。当時まだ無知な大学生だった僕は、その意味合いをよく理解していなかった。いまほど環境問題が注目されていなかった時代から、「これをライフワークとしてやっていく」と宣言していた。変わってるなぁ、と思った。


そういえば、思いだした。大学を卒業する直前の春休みに、司法試験合格者40名のグループを率いて、アメリカに裁判所や法律事務所、ロースクールを見学する旅行を企画した。最終日の夜、マンハッタンはハドソン川を遊覧するディナークルーズ。終盤にて、中央のダンスフロアにてダンスをする人たちに参加できずに遠くから見ている僕らのグループから一人飛び出し、フロア中を飛び回り転げ回るようなロックンロールのダンスを見せて、外国人たちから拍手喝采を浴びていたのも、彼だった。一滴も酒を飲まないのに。


そんな彼は弁護士になってからも地道に活動を続けてきた。僕と同時期に米国ロースクールに留学をして、環境専攻の法学修士を取って帰ってきた。環境法の分野では、弁護士界の中でもそこそこ存在感を出しつつあるそうだ。もっとも、独立したからには環境分野だけでは必ずしも事務所が運営できないため、通常の民事事件も幅広く手掛けなければならず、現実の厳しさも痛感しているという。


セミナーが終わってから、この日に出会った地元の元気いっぱいの方々と会食。学生時代からの夢を着実に実現しつつ、実際に商売をしていくことの厳しさに頭を悩ませ、昔と変わらずに一滴もお酒を飲まず、淡々ともの静かに語る、でもおじさんバンドでヘビメタバンドのボーカルをやって暴れているという友人をも交えて。新たな友人と古い友人の双方に囲まれて、素敵な一夜となりました。


ソーシャルアプリと生保2009年05月21日

Infinity Ventures Summit初日は、ミクシィ笠原社長によるミクシィのオープン化戦略に関するプレゼンテーションと、続いて米国のSNSアプリケーションのリーディング企業2社とミクシィの原田氏によるパネルディスカッション、そのあとにもう一つ別のパネルを挟んで、ディナー前にはドコモiModeの生みの親である夏野氏とグリーの田中社長、ヤフーのモバイル事業責任者である松本氏によるパネルディスカッションを聞いた。DeNAの守安氏も最前列に座っており、何度となく意見を求められマイクを向けられていた。

いまやインターネット業界の「新・御三家」はミクシィ、ディー・エヌ・エー、そしてグリーの三社と言われていることから分かるように、大きな流れとしてのThe Next Big Thingは、SNSのオープン化とその上で展開されるソーシャルアプリケーション、そしてこれらを利用するプラットフォームとしてのモバイルの成長であるとのコンセンサスがすでに出来上がっているようだ。

米国ではすでにFacebookやMySpace.comの上で使われるゲームなどのソーシャルアプリケーションが急成長しており、ミクシィもこのような動きを促進させたいようで、笠原社長が熱心にこの市場の将来性と、それを活性化させるためのミクシィの支援策について語っていた。

従来型のコンテンツ(ニュース、天気、検索、求人、映画など)が「オンデマンド性を生かしたパーソナライズコンテンツ」という特性があったのに対して、ソーシャルアプリでは「共有、共鳴」と「コミュニケーション」がポイントとなる。例えば同じ占いでも、ソーシャルアプリだったら友人との間の「相性占い」となるわけだ。

このようなソーシャルアプリケーションは今後、大きく成長すると言われている。では、それはライフネットのようなビジネスにどのような意味があるのだろうか。これまでのソーシャルアプリケーションというと、どちらかというとエンターテインメント性が強いゲームが多かった。今後はマネーなどもかかわる実用的なアプリケーションにも発展していくのだろうか。生保×ミクシィで面白いアイデア、ありませんかぁ。

時間を取ってこのようなカンファレンスに参加する意味は、二つある。一つは、インターネット業界の先端を走る方々との出会い。この場で知り合い、親しくなった人は多いし(プレゼンを見て一目ぼれしてアプローチすることもしばしば)、それがきっかけで一緒に仕事をしている人たちもいる。

もう一つは、大きな技術のトレンドを肌で感じることである。今回、ライフネットは新たに「モバイル生保」を発表したが、これも何度となくこのカンファレンスに出ている中で、「間違いなくインターネットはモバイル中心に移行していく」ということを痛感してきたことの影響が大きい。たとえば、ミクシィではすでにモバイルユーザーがPCユーザーの二倍になっているというし、グリーはモバイルへの戦略転換によって大きく飛躍した。

もちろん、カンファレンスに来なくとも「モバイル大事だよね」ということは分かっているだろうが、問題は「どれくらい大事?どれくらい真剣にやる?」という判断で変わってくるのだろう。生保でいえば「あの小さな画面で申し込まないでしょう」という意見が強いし、社内でも、「まだ時期尚早では」という雰囲気だった。

今回リリースするものはまだまだベータ版に近いのだが、どこよりも早くサービスインし、実際のユーザーの導線を注意深く観察し、サービスの改善をし続けることで、本当に「モバイル生保」が大きな可能性を持つような時代が到来したときに、もっともいい位置に立っていられるのだろう。

初心者だって発信できる2009年05月22日

保険のように公共性が高く、かつ国の社会保障制度と密接な関連を持つ事業に携わっている限り、日々の現場のビジネスだけでなく、一歩引いて、大きな視点での制度論、保険のあるべき姿などについて考え、目指すべき方向に向けて自分ができることから実践していくことが大切だと考えている。


そんな活動のひとつが、今週発表された「医療政策国民フォーラム」への参画。そうそうたるメンバーの末席に名を連ねているのだが、民間の医療保険は国の医療制度と裏表の関係にあるので、制度論に関する理解と理想像の提言が欠かせない。そう考えて、事務局の小野崎さんからお声がけ頂いたときは迷わず参加の返事をした。


もうひとつが、6月19日に行われる、日本保険学会(関東支部)での発表。今回は、「生命保険業界における競争促進と情報開示」というテーマで発表させて頂くことに。私のように業界経験が浅い人間であっても、それゆえに他の業界との比較や、素朴な「なんで?」という視点で物事を考えて整理していけば、プロの皆様にも多少なりとも興味を持って聞いて頂ける、ということなのでしょう。まだ少し時間があるので、準備をがんばろうっと。


よい週末をお過ごしください!

行脚2009年05月25日

金曜日はIVS 札幌で、最終セッションの直前に主催者の田中さんから「岩瀬さん、最後のガイジンセッションに登板願います」との嬉しい依頼。DeNA 南場さん、DCM David Chao など尊敬する方々とともに、末席ながらパネルディスカッションに参加させて頂きました。

さて、今週から再びピッチを上げていきます!講演会・セミナーの類がたくさん入っています。

・ 5月27日(水) 開業1周年記念セミナー
http://www.lifenet-seimei.co.jp/seminar/2009/1702.html

・ 5月29日(金) 野村総研セミナーにて基調講演
http://www.atmarkit.co.jp/event/calendar/detail.php?event_id=18794

・ 5月30日(土) 東大五月祭 アイセックイベント http://d.hatena.ne.jp/aiesec-tolc/20090524/1243143739

・ 6月14日(日) アントレ研究会
http://ameblo.jp/entre-ken/

・ 6月17日(水) グロービス
http://imba.globis.ac.jp/j/seminar/#a05

・ 6月18日(木) 丸善出版記念トークイベント
http://ec.nikkeibp.co.jp/item/books/P47460.html

・ 6月19日(金) 日本保険学会

・ 6月22日(月) ビジネスキャリア想像フォーラム
http://www.m-out.com/lp/lp2.html

・ 6月24日(水) 「保険情報」マーケティング勉強会

・ 6月26日(金) 新社会人向けセミナー(仮)

ひとりでも多くの方にライフネット生命のことを知って頂くために、走り続けます!よかったら、どれかに来てください!個人的には、オール英語で難易度が高いグロービスのイベントに、ぜひ挑戦して頂きたく。

アウェーで戦う2009年05月26日

先月からはじめた、Jキャストでのコラム連載。今までブログを読んでくれたり、講演会に来てくれる人たちとは違う層にも知ってもらうことが狙いで、「物議を醸すような内容にしてください」という社内マーケ部門からのリクエストもあり、ちょっとだけ controversial にしようと努めているのだが(コメント欄などを見ると、ここまでは実現できている)、これが今までの「ホーム」とは違った「アウェー」での試合のようのであり、学びが多い。


まず、コラムの内容はそれ自体で読み切りになっている(当たり前だが)。自分がどういう人間かや、これまで書いていたこと、トーンなどから含意していることをくみ取ってもらえるわけではない。「日本を見捨てて外国で働く?」のエントリーについていえば、元ネタとなっていたエントリーを明らかに意識して書いているのだが、書かれた方が非常に近い(共通の知人がたくさんいるので)ので、明確に非難することが難しい。そこで、オブラートに包んだ書き方にして「行間を読んで」といつものつもりで書いてしまったのだが、そこを文字通りに解釈されてしまい、一部の方々から反論をされた。


これはすべてのコミュケーションに該当する、大切なことである。自分と相手は何を共通の価値観や規範として持っていて、何は共有していないのか。相手は自分のテーマについてどこまで理解があって、どこははしょってもいいか、どこは丁寧に説明しなくては駄目か。プレゼンとかコミュニケーションが上手な人は、「相手によって伝え方を使い分ける」というのが長けていますよね。自分はまだまだなぁ、と新しい媒体にチャレンジして、痛感した次第。


ちなみに、ここ数年の体験で、公の場ではやたらと褒められたり、やたらと批判されることが多く、いつからかそういうのに慣れてしまったところに、今回のように自分をまったく知らない読者層の前に出て意見を言ってみると、一切バイアスなく、純粋に「意見」に対してフェアな議論をしてくれるので、それもまた新鮮な感覚で楽しんでる。

金融危機とMBA教育2009年05月27日

先週から発売になった「ハーバードビジネススクール 不幸な人間の製造工場」。もともとは著者のPhilip Delves Broughton から「草稿を読んで欲しいんだけど」と送られてきたワードファイルに感激し、すぐに日経BP社に「これは絶対に日本の読者にも読んでもらいたい!」とご紹介したのが経緯(そのご縁もあって、今回ははじめての監訳者としてお手伝いをすることに)。


これまでブログでも二回ほど紹介しています。はじめて読んだときの感想はこちら、米英で出版された直後の書評などを交えた紹介はこちら。それにしても、たまたま送られてきた一通のメールから、こうやって世の中に新しい作品として出されることになると、感慨深い限り。


今回、著者に「金融危機とMBA教育」というテーマでエッセイを書いてもらい、今朝から日経ビジネスオンラインに掲載されています(記事はこちら)。こちらも私が訳をやっているので、ぜひ読んでみてください。最近は、「クリックしてもらってなんぼ」ということを痛感しているので、タイトルはかなり挑発的にしてみました(「金融危機の真犯人を育んだMBAの罪~ハーバードMBAを卒業した新聞記者が覚悟の告発」)。


およそ300年前、大阪の近くにある堂島取引市場に集まったコメ商人たちが、現代のデリバティブ(金融派生商品)産業を生み出した。彼らは古典的な経済上の問題に直面していた。コメの売価が、生産コストよりも大きな振れ幅で変動するため、経済的に極めて不安定な生活になっていたのだ。


そこで彼らは将来の決められた日付に、あらかじめ定まった価格でコメを届けることを記す証書を書き始めた。市場が進化するに連れ、実際にコメを一切保有せずとも、証書だけを取引することが可能になった。


この歴史的事実は、2つの点において特筆すべきだ。まず、デリバティブ取引が、事業の不安定を取り除きたいという、コメ商人の実需から生まれたことだ。


そして、これらの取引を編み出したのがコメ商人であり、何年もの高等教育を受け、洗練されたコンピューターの収支予測モデルを持つ金融家ではなかったことである。彼らの金融イノベーションはコメの生産という、現実に価値を生み出す経済活動に根ざしていた。いつの間にかグローバル経済の大半を支配し、それ自身が自己目的化した金融エンジニアリングの類ではなかった。


現在のデリバティブトレーダーのうち、いったいどれだけの人が、自分が取引している商品のことを理解しているだろうか? ある企業から債券を買い入れ、それを商品先物や為替相場の変動に対してヘッジしようとする時、彼らはその取引の原資産となっている有形の資産について考えることがあるのだろうか? トレーディングを始めるよりも前に、原油を触ったり、実際に商品をタイバーツで支払ったり、あるいはサブプライムローンを借り入れたりしたことがある人はどれほどいるのだろうか?


本書は480ページの大著なのですが、かなりすいすい読めて、ハーバードMBAでの日々、光と影が、まるで映画を見るように鮮明に描かれています。そしてその意味合いは、単にMBA云々というだけではなく、「米国型資本主義的なるもののエッセンス」が詰まっているように思います。したがって、およそ今後の米国経済のあり方について関心がある方にとっても、示唆に富む内容になっているのではないかと考えています。


というわけで、日経ビジネスオンラインの記事と本書、ともにお読み頂けたらと思います。また、よかったら丸善で行われるトークイベントにもご参加くださいね。はじめてのサイン会だ。あ、でもサインするのは著者で、監訳者じゃないか。


お誕生会!2009年05月28日

昨夜、無事に開業1周年セミナーを行うことができました!お越し頂いた皆さま、どうもありがとうございました。200名近い方々にご参加頂き、大勢に「1年目の誕生日」を祝って頂いたようでとっても幸せな気分。

冒頭に出口から「三つのビジョンと4つの経営理念は実現できたか」をお話させて頂きました。

三つのビジョン
1. 保険料を半分にするから安心して赤ちゃんを産んでほしい
2. 保険金の不払いをゼロにしたい
3. 比較して納得して入る習慣を作る

四つの経営理念
1. 真っ正直に経営する
2. 生命保険をもっとわかりやすく
3. 生命保険を安くする
4. 生命保険をもっと手軽で便利に

次に、私のほうから「はじめてみて予想外だった5つのこと」をお話させて頂きました。

五つの想定外
1. ゼロから生命保険会社を作るのは大変
2. 生保、奥が深くて面白い
3. 思いがけずに素晴らしいメンバーが採用できた
4. 出口社長が意外と若い/若者にもウケル
5. やっぱり生保に入って貰うのは大変

こうやってみると、3つ、4つ、5つと、ゴロがよかったかも。申し合わせたわけではなかったのですが。

それから45分ほど、会場からのご質問を受けてQ&A。具体的なやり取りについては、こちらのページ http://d.hatena.ne.jp/starbow/20090527/1243425058 で詳しく書いて頂いています。

会場は熱気にあふれて、皆さんからもとてもいいオーラが出ていて、最高の「1周年誕生会」となりました。

ご参加頂いた皆さん、本当にありがとうございました!来年はもっと盛大にできるよう、1年間頑張りたいと思います。

入谷のおうどん食べましょう2009年05月29日

岩瀬さん

こんにちは。

そしたら14時からお昼を食べながらで、よろしいでしょうか。

入谷という辺鄙なところなのですが、日比谷線で上野から1駅です。駅についたら教えて下さい。

入谷のおうどん食べましょう。



祖父母のお墓がある三ノ輪の一つ手前の駅が入谷。この日は別のランチの約束があったのですが、この魅惑的なお誘いを断れるはずがなく、早めのお昼を一回したのち、入谷で二度目のランチ、おうどん食べてきた。

駅を出て上にあがると、交差点の反対側にその方が、テレビやウェブで見るのと同じ、底抜けに明るい笑顔で出迎えてくれた。

もうちょっとボーイッシュなイメージを持っていたのだが、小さく華奢で、ひらひらのお洒落なスカートをはいていて、ナチュラルな雰囲気の素敵な女性だった。

おうどんを食べながら主に話をしてくれたのは、この人の右腕である、名門投資銀行を飛び出して彼女を支えることをライフワークとしている、頭の回転は速いが、同時に暖かい人柄と情熱を感じる方だった。

二人を見ていて、本田宗一郎と藤沢武夫、盛田昭夫と井深大のように、突き抜けた天才カリスマと、それを支える手堅い実務家の布陣がすでに敷かれているのだな、と思った。

ご飯を食べながらの話は、彼らが思い描くビジョンとこれまでの展開、彼女の海外でのちょっとドジな武勇伝。あとは、僕が米国で見てきた社会起業家と日本での展開について考えていることをお伝えする。

一応、ライフネット生命と僕のことは少し前から知っていてくれたらしい。とっても光栄で、純粋に嬉しい。こちらもすっかりミーハーです。「ブログ、たまに見てますよー。キャラが出てて面白いですよねー」

せっかくなので、オフィスとお店を見学させて頂くことに。並んで歩いていると、彼女が話かけてくる。

「岩瀬さんは、講演とかたくさんしてますよね。好きですか?」

「え?(大好きとかいうのカッコ悪い・・・)ほら、うちの場合は知名度が全然ないので、とにかくいまは一人でも多くの方に知ってもらうための営業活動が、僕の最優先の仕事だと考えてます。・・・(小さい声で)もちろん、嫌いじゃないですが・・・あまり好きじゃないんですか?」

「いろいろな機会を頂くのは嬉しいんですが、私はバッグのデザイナーなので、限られた時間のなかで、できるだけバッグを作ってたいんです」

オフィスに着くと、外には看板も案内も何もなく、小さなスペースに、出版社の編集デスクのような騒然とした感じ。でも、エネルギーがみなぎってる。副社長の席だけ、投資銀行出身らしく、PCのモニタが二つある。本当は四つ欲しかったんだって。

この小さな空間で、世の中の人々を感動させ、確かに世界を変えつつあるひとつのビジネスが生み出されている、ということに感銘を受ける。

明日からまた数カ月海外に、しかもとてつもなく大変な大仕事をする直前だというのに、余り長居するのも悪いので、そろそろ失礼しようと、駅への戻り方を聞く。

「あ、駅まで送ってきますよー。途中にお店があるから、よかったら見てください」

自分たちがすべて手作りで作り上げたという小さなカワイイお店。商品を実際に手にとってみると、お洒落なだけでなく、かなりしっかりした作り。お情けで買ってもらうのではなく、純粋に競争力ある商品として買ってもらう、そして寄付を仰ぐのではなく、ビジネスとして自立できるものを創る。

普通に素敵だったので、ひとつお買い上げ。包装と、「カードはサインにしますか、それとも暗証番号にしますか」なんてお会計までご本人にやってもらっちゃった。

駅への帰り道。

「柔道、まだやってるんですか」

「やってますよー。こないだ、現地で金メダル取ったんです!といっても、向こうは警察と軍の人しかやってないんですが」

たくましいなぁ・・・こんな華奢な体で、バングラデッシュの軍人と、柔道やってるんだ。

「岩瀬さん、いつかぜったい、コラボしましょうね!何か一緒にできますよ!」

とてつもなく大きなことに取り組んでいる、5歳も年齢が下の、華奢な女性が放つとてつもないオーラとどんな困難をもふっ飛ばしそうな素敵な笑顔に、胸がずっとキュンとしてた1時間ちょっとでした。

日比谷線に乗ってオフィスに戻ったら、メールが届いていた。



なんとなく将来色々と一緒に何かをやるだろうなぁと思っているし、
私としても頑張っている岩瀬さんを目標に頑張りたいと思っています!

明日からネパールで工場立ち上げ、憂鬱な反面気合いっぱいです、
なんとか結果を残してきたいと思います。
岩瀬さんも毎日のお仕事是非楽しんでください!



またまた胸をズドンと打ち抜かれました。いつかきっと、社会を少しでも変えるような仕事を、ご一緒できたらいいなぁ。思い出に残る時間でした。

よい週末をお過ごしください!